▼独占欲 ページ9
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赤葦 Side. ―――――
木兎さんに手を引かれたまま
目当てのヨーヨー掬いに向かうA。
危なっかしい足取りは
小さい頃から変わらない。
転んでしまうのではないかと
目で追いながらも、周りに悟られないよう
隣の黒尾さんと月島との会話を続ける。
そんな矢先でAの嬉しそうな声がした。
A「わっ..いろんな色がたくさんある、
なんか懐かしいなぁ！」
小さい時のあの頃のように
目をキラキラ輝かせて。
A「...」
きっと白が欲しいんだろうな、探してる。
でも、今のその瞳に映るのは、それだけじゃなくて。
Aの好きな人。
気付かない訳がない。
もう何年も俺は
たくさんの季節をAと一緒に過ごしてきた。
嬉しい顔や
怒った顔
泣き顔も
全部隣で見てきたんだ。
こんなの
醜い嫉妬だな、と
改めて無力な自分に呆れる。
それでも
少しの可能性があるのなら
絶対に譲りたくない。
だから俺は
わざとその視線の先を遮って
Aの視界の中に入ったんだよ。
赤葦「..Aは、何色が欲しいの？」
A「京治!..んーとね、白かなあ。」
赤葦「ふっ、なんで疑問形。
昔も白が欲しかったのに、俺、あの頃はまだとってあげれなくて。
赤色とってあげたら、A泣いてたよね。」
そう言うと、恥ずかしがりながらも
少しむっとする表情。
可愛くて
独り占めしたくて
本当は誰にも見せたくない。
もう、今から約１２年くらい前になる。
小学生になったばかりの俺達は
元々親同士も仲が良く、家がご近所だということもあり
毎年開催される、神社のお祭りに連れて行ってもらうことになった。
A「けいじ！」
母親に手を引かれ、歩いて来たAは
会場付近で待ち合わせしていた俺と母さんに気付き
名前を呼び、こちら側に駆け出してきた。
京治「A、はしったらあぶないよ。」
A「えへへ、ごめんなさい！
ねー、みてっ！ゆかた！にあってる？」
こっちの心配もお構い無しに
ふわりと笑う、A
京治「うん、かわいいよ。
すごくにあってる！」
無邪気で、危なっかしくて
俺は、Aから目が離せなかった。
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作者名：R. | 作成日時：2016年7月12日 14時
