▼イチゴミルク ページ22
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月島 Side. ―――――
A「1年生?だよね。
表情、上手く隠せてたけど
やっぱり少し、具合悪そうだったから。」
月島「...。」
絶対気付かれないと思ってたのに
しかも他校の先輩に、とか
格好悪い。
そんなボクの表情を察してか
A「ね、甘いもの好き?」
月島「?..嫌いでは、無いです。」
A「良かった!じゃあ、はいっ!
これあげる。」
元気になる飴だよって言いながら
笑顔で掌に乗せられたのは
イチゴミルクのキャンディー
A「私、他校だけど、そーゆうの関係ないから。
何かあった時は頼ってね、月島くん!
あ!!飴のことはみんなに内緒ね、試合中だから。」
そう言って、少し悪戯な笑みを浮かべながら
彼女は先に体育館に戻って行った。
ふわっとした雰囲気の割に
鋭い洞察力だな、と思いながら
怠い身体を起こし、体育館内に戻る
案の定、彼女は忙しそうにしていて、
ドリンクを渡したり、記録をとったりしている。
その時はまだ予測だったけど
今回の合宿で確信に変わったことがある。
彼女もまた、恋をしている。
それも、同じチームの主将に。
わかりやすいな。
そして黒尾さんも好きなんだ。
第三体育館での休憩中
あの日貰った時と同じキャンディーを
口に放り込む。
月島「..甘。」
よく聞くセリフ
初恋なんてものは上手くはいかない。
よりにもよって、
他の誰かを好きな彼女に、ボクは好意を抱いた。
行き場のない想い
悔しくなって、少しだけ意地悪をした。
ありがちな理由に
彼女の唇に、指先で触れる。
目、瞑るとか反則デショ。
月島「ごちそーさまデシタ。」
A「〜〜〜っっ///」
彼女の体温で
少し溶けた生クリームは、
あの日貰ったキャンディーの甘さと
酷く似ていた気がした。
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作者名:R. | 作成日時:2016年7月12日 14時