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優斗くんは、それを早く言えよ、これからどうやって高橋家やっていくんだよ、俺来年大学受験なんだけど、と父に詰め寄る。
けれど父は、既に他の大学で教授として採用されることが決まっているから家計のことは心配無用だと諭し、クローンだという少年についての話を続けた。
少年は、出生に関する背景から身体が弱く、そして部外者に見つかれば大変なことになるため、大学の施設内で育てられた。
出生届は出されたが、学校にも行けず、逃げるような日々。
研究室の目標はいつしか、クローン少年を育てるために、他の研究で成果を挙げ、研究費を獲得することになっていった。
けれども、つい先日、研究室を取り仕切る教授は来年度以降研究費が出ないことを打ち明けた。
それに伴い、クローン少年は居場所を失ったのだ。
身寄りがない彼に行先はなかった。
他の研究室の面々は、引き取りを拒否した。
もしクローン胚から生まれた少年と同居していると知られたら、どうなるかは分からない。
当たり前のことだ。
そんな中で、唯一名乗りを上げたのが父だったのだ。
父が一通り話し終えると、居間は一気にひんやりと冷たい空気で支配された。
クローン人間の押し付け合い。
まるでSFのような話だ。
全てを聞いた今だって、現実に起きたこととは思えていない。
けれど、これは現実なのだ。
今、私たちの目の前で起こっていることなのだ。
幼いころから父の研究内容を聞かされてきた私たち兄妹には、クローン作製とその倫理的な問題について、ぼんやりとだが、イメージくらいは持っている。
だからこそ、むやみやたらに軽率な発言が出来なくなってしまった。
「とはいえ、急すぎない？その話、いつから決まってたの？」
優斗くんは言葉を選びながらも父に疑問を投げかける。
目元に力を入れ、きりりと相手を睨むのは、優斗くんが真剣に話をするときの癖だった。
「研究室がなくなるってことが分かったのが、先週くらいのことかな。で、こいつどうしようってなったのもその時で、俺が引き取るって言ったのは、えっと、今日のミーティングが終わりかけの頃だから……4時間前のことかな」
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れお(プロフ) - 陽依さん» コメント有難うございます。そんな風に言っていただけて、本当に嬉しいです。ゆっくりですが更新していきますので宜しくお願い致します。 (2021年8月4日 0時) (
レス) id: 8293f3a179 (このIDを非表示/違反報告)
陽依(プロフ) - ほんとにこのお話大好きです！なんでとかはうまく言えないんですけど…これからも楽しみにしています！ (2021年8月2日 22時) (レス) id: 5f72745e3d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：れお | 作者ホームページ：https://peing.net/ja/reosndy
作成日時：2021年6月26日 21時
