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何も考えていないように見えても、何にも興味を抱いていないように見えても、きっと、彼なりに何かを受け取り、感じていたのだ。
それに気付けなかったことが、なんだか私は悔しかった。
龍斗くんが注いでいた、優斗くんへの気持ちは、嫌悪感でも怒りでもなく、愛情に似た気持ちだったのかもしれない。
龍斗くんの眼差しに気付いて、汲み取ってあげたかった。
同時に『龍斗くんこそが使うべき部屋』という父の言葉への疑問も生まれてくる。
父は何を考えて、そんな言葉を発したのだろうか。
「……優斗くんはね、お母さんに似てるから。だからお母さんのこと、今でも覚えてるんだと思う」
龍斗くんの言葉に、私なりの見解を返す。
それは、私がこの15年間、ずっと考えてきたけれど、誰にも口にしてこなかったことだ。
母と優斗くんの繋がり、父と私の繋がり、そして、優斗くんと私の繋がりと切断。
私たち兄妹は繋がっているようで、しかしいつも隔てられているのだ。
母への思いという点において、繋がることが出来ないのだ。
「私は、お母さんとは全然違う人。だから、本当はお母さんのことを知りたいっていう気持ちも、会いたいっていう気持ちもそんなにないの」
「……俺と一緒。俺も、産んだ人のこととか、俺の元になった人のこととか、気にしたことない」
冷たい人って思われないだろうか、という不安を抑えつつも放った言葉。
それに対し、返ってきたのは、意外なことに共感だった。
もしかしたら、龍斗くんは、優斗くんだけじゃなくて私のこともずっと気にかけていたのかもしれない。
私の優斗くんに対する複雑な気持ちまで、見抜いているのかもしれない。
そうじゃなきゃ、きっとこんな言葉は言わない。
龍斗くんのことを、ロボットみたいと思っていた私は馬鹿だ。
「それに、Aちゃんがいるなら、それでいい」
「……なにそれ」
龍斗くんの冗談なのか何なのか分からない言葉を、無理やり無視して、目を瞑る。
けれども、その甘ったるい言葉がどうにもこうにも頭から離れない。
その言葉が本心からの言葉だったらいいのにという願いが止まらない。
こんなに愛おしい子を、産んだきりどこかへ行ってしまうなんて。
私だったらそんなことはしない。
私だったら大人になるまで大切に育て上げるのに。
私が産んであげたかった。
私が育てて、毎晩口づけをして、眠りにつかせてあげたかった。
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れお(プロフ) - 陽依さん» コメント有難うございます。そんな風に言っていただけて、本当に嬉しいです。ゆっくりですが更新していきますので宜しくお願い致します。 (2021年8月4日 0時) (
レス) id: 8293f3a179 (このIDを非表示/違反報告)
陽依(プロフ) - ほんとにこのお話大好きです！なんでとかはうまく言えないんですけど…これからも楽しみにしています！ (2021年8月2日 22時) (レス) id: 5f72745e3d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：れお | 作者ホームページ：https://peing.net/ja/reosndy
作成日時：2021年6月26日 21時
