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夜の海みたいな、深く、雑音のない真っ直ぐな声。
そこにある感情が読み取れない。
私は龍斗くんに話を振ったことを少し後悔した。
龍斗くんの出自、育ち、その全てを踏まえた上で、彼を包み込んであげようという気持ちが生まれていたにもかかわらず、こんな考えなしの質問をするなんて。
やっぱり私は人付き合いが出来ないだめな奴だ。
「……でも、Aちゃんみたいな人かもって最近思う」
大きな後悔の渦の中心で、ふらふらとしていた私は龍斗くんの一言で現実へと引き戻される。
暗闇に目が慣れてきたためか、目の前の壁の白さが徐々に現れてきた。
同時に、龍斗くんの言葉も、徐々に頭に浸透していく。
先ほどよりも、少しだけ柔らかい声が、固まった体をほぐしていく。
私みたいな人。
その言葉に龍斗くんがどんな意味を込めているのか、それとも何の意味も込めていないのか。
顔を見たら分かる気がする。
でも、後ろは決して振り向けない。
まだ、私にはそこまでの心の準備が出来ていない。
「どうして」
「なんかね、そんな気がするんだよね」
私のか細い声に対し、龍斗くんは緩やかに答えた。
もしかしたら、龍斗くんは「私みたい」という一言に、そこまで大きな意味は含ませていなかったのかもしれない。
それでも、私は嬉しかった。
後悔に苛まれていた私を救ってくれたような気がしたのだ。
かち、かち、と相変わらず目覚まし時計の音が響いている。
けれども、音は先ほどまでよりも小さい。
さっきの会話で空気が一気に解きほぐれた。
自分の部屋なのに、自分の部屋じゃないような心地はもうなくなっている。
「お母さんの話しても良い？」
手の中でほぐした粘土みたいな空気に流されて、私はいつの間にか自分から龍斗くんに話しかけていた。
良いよ、という返事が背中にぶつかった。
「本当のことを言うと、私はね、お母さんのこと覚えてないの。一緒に暮らしていた期間もほとんどないし、死んじゃった時はまだ小さかったし」
龍斗くんから返事や相槌は返ってこない。
けれども、彼が聞いてくれていることは分かる。
背中から伝わってくる。
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れお(プロフ) - 陽依さん» コメント有難うございます。そんな風に言っていただけて、本当に嬉しいです。ゆっくりですが更新していきますので宜しくお願い致します。 (2021年8月4日 0時) (
レス) id: 8293f3a179 (このIDを非表示/違反報告)
陽依(プロフ) - ほんとにこのお話大好きです！なんでとかはうまく言えないんですけど…これからも楽しみにしています！ (2021年8月2日 22時) (レス) id: 5f72745e3d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：れお | 作者ホームページ：https://peing.net/ja/reosndy
作成日時：2021年6月26日 21時
