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父と優斗くんが喧嘩した。
意味が分からない。
どういう経緯で喧嘩に至ったのか。
何がきっかけだったのか。
そこまで話してくれなきゃ、何も分からない。
ただ、先ほどの違和感が事実であったという確信を得られたことだけは収穫だった。
やっぱり、優斗くんはいつもと違う何かを抱えていたのだ。
それにしても、何故、とぼんやり考えていると、龍斗くん私の頭の回転を助けるように口を開いた。
「二人は俺の部屋について喧嘩したの」
「龍斗くんの部屋について？」
「そう、俺の部屋をどこにするかで、喧嘩になっちゃった」
そう語る龍斗くんは心なしか落ち込んでいるように見えた。
龍斗くんの部屋。
それはここ数日の高橋家において、すぐさま解決すべき課題だった。
龍斗くんが優斗くんの部屋で寝るようになってからはや1週間。
二人の相性は相変わらず最悪だった。
いびき、荷物の置き場、着替えるときに部屋を出るか否か、等々、言い争いの種は日々増えていく。
その余波は同じ家で暮らす私にも押し寄せていき、目覚まし時計よりも早く、優斗くんの怒鳴り声で起きるのが日課になってしまった。
龍斗くんに一人部屋を与えるのが手っ取り早い解決策なのは、明らかだった。
「龍斗くんの一人部屋がまだ作れないから優斗くんが怒っちゃったってこと？」
「……そうじゃないんだよね。高橋さんが俺のために空けた部屋がだめだったみたい」
父はここ数日、優斗くんの小言をのらりくらりと躱していた。
だから、父は自分のスペースと化しているいくつもの部屋を手放す気なんてさらさらないと思っていたのだが、どうやらそれは間違いだったらしい。
それにしても不思議だ。
わざわざ父の申し出に対して怒るなんて。
龍斗くんに部屋をあてがうなんて、優斗くんにとったら願ったり叶ったりじゃないか。
「なんかね、優斗にとって大事な部屋だったんだって」
「大事な部屋？」
「そう、優斗の部屋の向かい側の、鍵がかかってたところ」
優斗くんの向かい側の部屋。
今は誰も使っていない、父さえも占領していなかった場所。
そこは、母の部屋だった。
頭がくらくらする。
母の部屋を龍斗くんに渡す。
その言葉を聞いた時、優斗くんがどんな表情をしたのか、どんな気持ちになったのか。
想像しただけで、息が上手く吸えなくなり、抱えきれない感情の波に溺れそうになった。
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れお(プロフ) - 陽依さん» コメント有難うございます。そんな風に言っていただけて、本当に嬉しいです。ゆっくりですが更新していきますので宜しくお願い致します。 (2021年8月4日 0時) (
レス) id: 8293f3a179 (このIDを非表示/違反報告)
陽依(プロフ) - ほんとにこのお話大好きです！なんでとかはうまく言えないんですけど…これからも楽しみにしています！ (2021年8月2日 22時) (レス) id: 5f72745e3d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：れお | 作者ホームページ：https://peing.net/ja/reosndy
作成日時：2021年6月26日 21時
