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放課後。
学年末試験終了後の、消化試合のような授業のせいか、私の気持ちはどことなく沈んでいた。
どうして一年の終わりというのは、こうも張り合いがないのか。
一年の始まりの春は、多少なりともきらめているのだから、終わりだってもっと胸が躍るような気持ちで過ごしたい。
これは、幼い時から抱いている思いだった。
けれども、周囲のクラスメイトはそんなことは一ミリも思っていないらしく、春休みの予定や、4月から始まる高校生活の話をぺちゃくちゃと繰り広げていた。
どうやら、こんなにもじめじめとした中学生活最後の3月を過ごしているのは私だけらしい。
私はいつまでも、こんな風に、いじけながら過ごすのだろうか――そんなことを考えつつ、数少ない友達に手を振り教室の戸を開くと、そこにはここ数日で見慣れた顔がいた。
「龍斗、くん」
「Aちゃんは部活ってやつ、やってないんでしょ？ 一緒に帰ろ」
少しだけ固い喋り方と、ナチュラルな微笑み。
雑誌から飛び出てきたような、洗練された佇まいで、彼は私のことを待っていた。
「……うん」
多少は近しい存在にはなったものの、この美しい顔にだけはまだ慣れない。
肩を並べる、とはよく言うが、この言葉を考えた人は、きっと背丈がほぼ同じ人同士で歩いていたのだろうと思う。
龍斗くんは私よりも、頭一つ分背が高い。
だから、一緒に歩いても、あまりそういう感覚は得られない。
これじゃあ、肩と腕を並べている、というような状況だ。
龍斗くんの表情をうかがうためには、目線を持ち上げるだけでは足りない。
顔ごと、ぐい、と上を向かなければならない。
けれど、そうする勇気が出ない。
龍斗くんが今、どんな顔で私の隣を歩いているのかを知りたい気持ちはあるのに。
どうして、勇気が出ないのかもわからない。
いつもの、人と話すのが少し怖い、という気持ちともまた違う思いがそこにはあった。
真っ白な壁、木目の床、薄暗い照明。
見慣れているはずの校舎に、注視を向ける。
それは、龍斗くんと目を合わせないための苦肉の策だった。
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れお(プロフ) - 陽依さん» コメント有難うございます。そんな風に言っていただけて、本当に嬉しいです。ゆっくりですが更新していきますので宜しくお願い致します。 (2021年8月4日 0時) (
レス) id: 8293f3a179 (このIDを非表示/違反報告)
陽依(プロフ) - ほんとにこのお話大好きです！なんでとかはうまく言えないんですけど…これからも楽しみにしています！ (2021年8月2日 22時) (レス) id: 5f72745e3d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：れお | 作者ホームページ：https://peing.net/ja/reosndy
作成日時：2021年6月26日 21時
