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大きな瞳に、黒く長い睫毛。
雪のように透き通る肌。
社交的で明るい性格。
加えて、高い運動能力。
身内贔屓を抜きにして考えても、出来過ぎている人間だ。
当たり前のように部活では皆のまとめ役で、文化祭のクラス写真では真ん中にいる。
そういう星の下に彼は生まれたのだ。
しかも、整った顔立ちには、同じクラスの少女だけでなく、教師や購買のおばさんたちからも、女性特有の温かく、けれどもなんとも言えない居心地の悪い視線が送られている。
でも、兄はそれを気にしない。
だからこそ、あんなにも堂々としていられるのだろう。
ちらり、と、テレビ台の横に置かれた、若い頃の母の写真を見る。
快活そうに、美しい顔をふんにゃりと歪めて笑う表情。
同じ。全部同じだ。
兄は母をそのままコピーしたような少年だ。
一方で、私は父の生き写しのような人間だ。
自分の好きなことしかできない。父は昔からそうだったらしい。
国語と英語と社会はだめ。数学はクラスで一番。理科なら全国で一番。
そんな少年だった父は、当然のように理系の大学に進み、研究職に就いた。
国語が出来ないから、中学生の私からしても、論文の言葉遣いはやや幼稚だ。
しかも、世の中のことを何も知らないから、確定申告は周囲の助けがないと出来ない。
挙句の果てに英語も一切分からないから、学会発表は助手を専属通訳に任命しなければいけない。
研究以外どうでも良い。
人と話している時間があるなら顕微鏡を覗いていたい。
一分でも、一秒でも長く。
自分の研究の対象である細胞だけが友達――そんな男だ。
私は、父と全く同じような生き方をしてきた。
社交的でない。友達は一握り。
顔立ちも父と似ていて特別美人なわけじゃない。
通知表の数字だって、でこぼこだ。
唯一違うことと言えば、父は理科が全国で一番だったのに対し、私は国語が全国で一番なことくらいだろうか。
どうして、あんなにも美人で優しい母が、冴えない父と結婚したんだろう。
小学生くらいの時からずっと抱いている疑問は、そのまま兄と私の関係にも言えることだった。
どうして、私と優斗くんは兄妹なんだろう。
こんなにも違うのに。
こんなにも正反対なのに。
どうして、どうして、どうして。
優斗くんという太陽と一緒にいると、寂しくない。
一人じゃないと思える。
けれど、どこかいつも居心地が悪いのは、きっとそんな問いを抱いていることが原因だった。
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れお(プロフ) - 陽依さん» コメント有難うございます。そんな風に言っていただけて、本当に嬉しいです。ゆっくりですが更新していきますので宜しくお願い致します。 (2021年8月4日 0時) (
レス) id: 8293f3a179 (このIDを非表示/違反報告)
陽依(プロフ) - ほんとにこのお話大好きです！なんでとかはうまく言えないんですけど…これからも楽しみにしています！ (2021年8月2日 22時) (レス) id: 5f72745e3d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：れお | 作者ホームページ：https://peing.net/ja/reosndy
作成日時：2021年6月26日 21時
