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そんな感覚への反抗として、反射的に後退ろうとした瞬間、その大きな手は私の頬に触れたのだった。
「……女の子？」
彼の口から漏れ出たのは、何気なく、それでいて普段の日常では聞けないような疑問だった。
大きな手は熱を帯びている。
頬から伝わってくる温かさ。
私は、父と優斗くん以外の男の人の手と触れ合うのはこれが初めてだった。
その熱が身体中を巡り、動かなくなる。
ただでさえ、男の人は得意じゃないのに、こんなにも美形で、その上不思議なバックグラウンドを持つ子に近づかれたら何にもできなくなる。
私はなんとか、そうです、と絞り出すと、目の前の美男子は目をまん丸くさせた。
それは、確かに生きた人間だった。
始めて見たものに対し、純粋に驚き、感動し、心を震わせる、子どものようだった。
「俺、本物の女の子って初めて見た」
きゅっと彼の瞳の奥の焦点が私に定まる。
表情が無から微笑へと変わる。
やはり普段の日常では聞けないような一言が私に浴びせられた。
非現実的で漫画みたいな言葉。
けれども、この子の存在自体が非現実的で漫画みたいだから、不思議とその不自然な言葉も簡単に飲み込むことが出来た。
「よろしくね」
冷たいけれど優しい声色。
それは、今までに聞いたことがないような種類の音だった。
優斗くんの大きな声とも、コンビニのアルバイトの男の人の声とも違う。独特な声。
頭の中で反響していく。
何度も何度も、その声が響き渡る。
その一言に私の心は大きく揺れ、鼓動は高まり、ただ頷くことしかできなかった。
金平糖が瓶にぶつかる軽い音。
こつん、こつん、というその音が、私の胸で響いている。
何も生まれないし、何も壊れないその音は、ただ音が鳴ったという事実だけを物語る。
けれども、その事実が結局のところ一番大事なのだ。
ああ、この男の子に触れてみたい。
この男の子のことを知りたい。
この感情が、恋というのか、愛というのか、それともまた別の名前が付けられているのか、今の私には分からない。
この胸で響く音は、ただただ、目の前の男の子に触れたいという気持ちだけを確かに示していた。
まるで、星が降ってくるように。
信じられないけれど、甘いおとぎ話のように、彼はやってきたのだ。
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れお(プロフ) - 陽依さん» コメント有難うございます。そんな風に言っていただけて、本当に嬉しいです。ゆっくりですが更新していきますので宜しくお願い致します。 (2021年8月4日 0時) (
レス) id: 8293f3a179 (このIDを非表示/違反報告)
陽依(プロフ) - ほんとにこのお話大好きです！なんでとかはうまく言えないんですけど…これからも楽しみにしています！ (2021年8月2日 22時) (レス) id: 5f72745e3d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：れお | 作者ホームページ：https://peing.net/ja/reosndy
作成日時：2021年6月26日 21時
