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いくら混乱しているとはいえ、いつもなら、こんなことはしない。
優斗くんは、とにかく他者に対して慎重に接する人だ。
憤りを露わにすることがあったとしても、そのまま手を出すことなんかしない。
どんなに憎い人であったとしても、傷付けはしない。
ということは、私が想像している以上に、優斗くんはこの状況に対してまだ整理がついていないのだろう。
きっと、明日になれば落ち着いて話が出来るはず。
そして、龍斗くんとも和解し、兄弟のようになるはずだ。
昨日の私はそう結論付けた。
しかし、朝7時に、ゾンビのような出で立ちで私の部屋へ入ってきた優斗くんの顔には、苛立ちや混乱がまだ色濃く残っていた。
現に、今だって私の曖昧な態度に業を煮やしているようだった。
「あいつ、絶対とんでもないやつだよ。突然Aの顔触ったし」
「まだそれ言ってる……別に私は気にしてないよ」
「気にするべきだよ。普通に考えて、初対面の異性の身体に触るなんて有り得ないから」
父さんはちゃんと教育したって言ってるけど、そもそも男としか触れ合ってこなかったって時点でちゃんとしてないし。
最近の性教育の主流は幼稚園の頃からプライベートゾーンって言う概念を教えるもんなんだよ。
優斗くんはぶつぶつと文句を垂れている。
その言葉の矛先は、教育者である父へいったり、あるいは父の所属する大学へいったり、はたまた現代の教育問題へ行ったり。
どんどん色々なところに飛び火していく。
けれども、本質的な部分で、龍斗くんに対する文句は一切出てこなかった。
「……優斗くんはさ、どう思ってるの?」
「どうって、父さんはやっぱりマッドサイエンティストだなっていうか、強引っていうか……」
「お父さんのことじゃなくて、龍斗くんのこと。どう思うの?」
私の問いを聞くと、優斗くんは不意を突かれたように表情をこわばらせた。
「……変な奴だなって思うし、受け入れがたい、けど、そう言っちゃいけない気もする」
手持ち無沙汰なのか、私の文庫本をぱらぱらと捲りながら、優斗くんは気だるげにそう言った。
それは、自分の中にある感情を全て表に出しきり、疲れ切っているようにも見えた。
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れお(プロフ) - 陽依さん» コメント有難うございます。そんな風に言っていただけて、本当に嬉しいです。ゆっくりですが更新していきますので宜しくお願い致します。 (2021年8月4日 0時) (レス) id: 8293f3a179 (このIDを非表示/違反報告)
陽依(プロフ) - ほんとにこのお話大好きです!なんでとかはうまく言えないんですけど…これからも楽しみにしています! (2021年8月2日 22時) (レス) id: 5f72745e3d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:れお | 作者ホームページ:https://peing.net/ja/reosndy
作成日時:2021年6月26日 21時