001/通じてしまった願い ページ1
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「もし、もう一度やり直せたらなあ」
灼眼の少年は思わず洩れた心残りに自ら苦笑した。
少年のたったひとつの願いは、砕けてしまった大切な人たちの命のこと。
勿論、全てが己所為ではない。
負い目を感じることではない。
自分とてそれは理解している。
だけども。
指では数えきれない、たくさんの命が掬いきれずに溢れていった。
もし、もう少しだけでも強ければ何かが変わったかも知れない。
無意識にそう考える少年。
同じく無意識に“知っている”知らない筈の誰かへの言葉が溢れる。
「俺には救えなかったんだ。俺の代わりに救ってくれないか」
溢れた言葉に少年自身も驚いて。そんな事をさせてはいけないと気づく。
大切な人を失う悲しみは、もう誰も味わって欲しくないと。
少年は頭を振って、下ろしていた腰を上げた。
そう、この願いは、届くことなど無い筈だった。
けれど、届いてしまった。
灼眼の乙女に。
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廣岡唯 - 面白い続きが観たい…頑張れよ (2022年11月5日 12時) (レス) @page5 id: 4e6dbece94 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:Rin華 | 作成日時:2022年8月9日 13時