検索窓
今日:9 hit、昨日:2 hit、合計:8,173 hit

003/竈門炭長女の優れた能力 ページ3

.




「お姉ちゃん」

「禰豆子」


少し歩いたAに、親しげに声を掛ける少女がいた。


「六太を寝かしつけてたんだ。大騒ぎするから」


Aの妹、竈門家次女、竈門禰豆子。禰豆子の背に背負われているのは竈門家の末っ子、竈門六太。


「お父さんが死んじゃって寂しいのよね。みんなお姉ちゃんにくっついて回るようになった」


竈門炭治郎らの父で葵枝の夫である竈門炭十郎は今は亡き人。みんな炭十郎が他界してから前にも増してAについて回ると語った。


「いってらっしゃい」


禰豆子は笑顔でAを見送った。

生活は楽じゃないけど幸せだな、

雪の降る中、その天候に感化されたようにAはひとり考えた。


「(でも人生には空模様があるからな。移ろって動いていく。ずっと晴れ続けることはないし、ずっと雪が降り続けることもない。そして幸せが壊れる時には、いつも血の匂いがする)」


そんなことを思い考えながらAは足を進めた。


「まあAちゃん」


山の麓の町に着くと直ぐに外に出ていた町人が笑顔でAを迎えた。


「こんな日に山を降りてきたのかい。よく働くねぇ。風邪ひくよ」

「この間は障子を張り替えてくれてありがとう」

「おーい炭を売ってくれ」

「こっちにも炭をちょうだい」


どうやら優しく親切なAを町人たちも慕っているようで。Aは表情を緩めた。


「あ〜〜っ、A、ちょうど良かったあ」


そんなAに襟を掴まれた半泣きの男が声を掛ける。その手には布で包まれている粉々の皿が抱えられていた。


「皿を割った犯人にされてんだよ俺〜〜っ、助けてくれよお」


嗅いでくれ!!

とつけ加え懇願する男。

その男が持つ割れた皿にAは鼻を近づける。クンクン、と皿の匂いを嗅ぐA。

一際強くクン、と匂いを吸って感じた匂いは、猫の匂い。


「猫の匂いがする」


Aがそう告げると、驚いた顔をして男性の襟を離す女性。


「あら猫なの?」

「ほらぁああ!!」


何故、こんなにも女性があっさりAの言葉に頷くのか。

それはAの鼻が利くから。匂いでわかってしまうのだ、Aは。

その鼻は色々な人の役に立ってきた。

そしてAは素直で優しい。だからこそ町人はAは信じている。


「A、ちょっと荷物運ぶの手伝ってくれねぇか」


困っているお爺さんに呼ばれたAは其方へと向かった。

004/鬼が出る→←002/暖かな家族



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.8/10 (37 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
69人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

廣岡唯 - 面白い続きが観たい…頑張れよ (2022年11月5日 12時) (レス) @page5 id: 4e6dbece94 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:Rin華 | 作成日時:2022年8月9日 13時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。