世界観 ページ1
まるで世界から隔絶されたような静かさが広がる幻想的な植物園の奥、小鳥の声と香り高い花々に誘われるまま歩いて行けば、
『Heiland』
と看板を構えた、ベージュカラーの落ち着いた外観を持つ建物がひっそり(というには大規模すぎるのだが)建っている。
通称、ハイルショップ。
この世界でたった一つ、愛玩生物『ハイル』を展示し、販売もしているというこの店。上流層から一般家庭まで幅広く愛されるハイルを取り扱っている。
あたたかな木製の扉を開けば、心地よい音楽が流れていて、
きゅいきゅいっ
もう少し待って。今剥いているところだから。
きゅぃ〜
整然と陳列された沢山のハイラリウムの中の一つ。小さな小さな瓶詰めされたヒト型生物ハイルが、丁寧に手早く果実の皮を剥く一人のスタッフに白い花弁のような両手を伸ばしていた。
スタッフの男は静かに歌を歌いながら、器用に果実を1cm角にも満たない欠片にして、それを瓶の中に落とした。
瓶に満ちた液体の中でゆらゆらと沈む果実を受け取ったハイルは、幸せそうに笑い、その口をいっぱいに開いて噛りつく。
美味しいか?
きゅいっ
そうか、良かった。
微笑んだスタッフは、同じように果実をカットしてハイラリウムに入れた。愛情深くそっと瓶の蓋を閉めたところで、
ああ、気付かなかった……。
スタッフは漸く来店に気付いた。
ようこそご来店下さいました。
食事中のハイル、おねんね中のハイル、興味深そうに瓶の外を見るハイルなど、様々な子たちを背後にスタッフが恭しく会釈をする。そして彼はレジ横のパンフレットを手に取り、向きを整えて差し出してきた。
こちら、当店のパンフレットとなります。
ハイルの購入をご希望であれば此方の販売ブースに、観覧をご希望でしたら奥の展示ブースへとお進み下さい。
そう簡単に説明したきりスタッフはふらりと立ち去り、即座にハイルの世話へと戻った。
彼は詩を口ずさむ。
澄んだ空気に溶け込むような静かな歌。
その歌が幸福であるというように、瓶詰めハイルたちは声を揃えて歌った。
精一杯真似しようとする拙い人語を奏でながら、ハイルたちは至高のひとときを味わっていた──。
ようこそ、詩に満ち溢れた小さな箱庭へ。
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流離いのsecret(プロフ) - 梅松さん» CS作成お疲れ様でした!とっても可愛らしいハイルをお二人も!ありがとうございます。問題ありませんので、関係結びや派生作品作成などの活動をお楽しみ下さい。 (2021年8月16日 8時) (レス) id: af1699faf6 (このIDを非表示/違反報告)
梅松(プロフ) - 遅くなってすみません!2人のCS完成したので確認お願いします!【http://uranai.nosv.org/u.php/novel/misaki18101/】 (2021年8月16日 5時) (レス) id: 9b7d288902 (このIDを非表示/違反報告)
流離いのsecret(プロフ) - ゆうばりめろんさん» CS作成お疲れ様でした!可愛いお嬢様ですね。問題ありませんので、関係結びや派生作品作成などの活動をお楽しみください。 (2021年8月9日 6時) (レス) id: af1699faf6 (このIDを非表示/違反報告)
ゆうばりめろん(プロフ) - 流離いのsecretさん» CS作成完了しました!確認をお願いします…!【https://uranai.nosv.org/u.php/novel/airijasmin1/】 (2021年8月8日 17時) (レス) id: 2c4348b660 (このIDを非表示/違反報告)
流離いのsecret(プロフ) - ゆうばりめろんさん» はじめまして!申請ありがとうございます!問題ありませんので、CS作成にお進みください。完成をお待ちしております! (2021年8月8日 11時) (レス) id: af1699faf6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:流離いのsecret x他1人 | 作者ホームページ:なし
作成日時:2021年7月14日 16時