半分こ (ページ3)

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平日の昼下がり、Aは自宅のリビングで3人掛けのソファーに横になりながら、文庫本を読んでいるが中身は入って来ずで、ぼーっとしていた。

つい1週間前か、ナンパされてた男に殴られそうだった所を助けてくれた高校生の顔が浮かぶ。
別に助けてもらわないと危ない状況だったとかいう訳じゃないけど、本の中のようなちょっと非日常的な出来事に少し心が踊った。

Aが今着ている赤いラインが2本入った白のセーラー襟に黒のスカーフがあしらわれた紺色のセーラー服、膝丈のプリーツスカートは彼女がつい数日前まで通っていた馬路須加女学園高等学校の制服で、彼女が学校に行かず自宅で文庫本を読んでいるのは、諸事情によりつい1週間ぐらい前に廃校になってしまったからである。

Aの母親である麟は、Aのいるソファーからローテーブルを挟んで向かい側にあるソファーに足を組んで座った。

「A、ちょっとええ？」

麟に声を掛けられたAは読み進めていた文庫本をローテーブルに起き、上半身を起こした。すると、「あんたの編入先のパンフレット」と麟は持っていた高校のパンフレットをAに差し出した。

『馬鹿田高等学校？』

「そこの理事長さんがお父さんの友人みたいで、マジ女がなくなって行き場のないあんたをうちにって引き取ってくれたらしいんよ」

『いや、私まず男じゃないんだけど』

「もー、つべこべ言わんの！編入手続きは済ませてあるから明日からでも行ってみなさい」

麟はコーヒーカップを持ってソファから立ち上がり、リビングを去って行った。

改めてパンフレットを眺める。
どうやら私は男子校に編入させられたらしい。

02.始まり