本編72 ページ4
目が覚めた。同室のミカサやサシャを起こさないようにして、フカフカのベッドから音もなく降り立つ。
服を羽織って広くて長い廊下を抜けると外に出た
「A、どこかに行くのか？」
『なんとなく、目が覚めたから』
まだ、朝日が昇りきっていないこの時間の澄み切った空気が好きだ。肺いっぱいに広がる冷気を感じると私も澄み切った空気の一部になった気になれる
『頭痛、してるんじゃない？』
「……あぁ、痛え」
無理もない。あんな無茶苦茶な飲み方していたら余程肝臓が強くない限り翌日にしわ寄せが来るだろう
頭を押さえるエレンを見てから瞼を閉じる。昨日の様子がありありと思い浮かんでは誰かの笑い声が響いた気がした
暫く、穏やかな空気に身を任せているとエレンが話しかけてくる
「なぁ、A。オレはきっとこの先、お前らとは別れて行動することになる。だから、ミカサやアルミン達を頼む」
『良いよ、約束してあげる』
先程まで二日酔いに苦しんでいた人物とは思えないほど覚悟の決まった戦士の顔がそこにはあった
「お前とこうして話すのもこれが最後かもしんねぇ」
『そう思うともう少しエレンと話しておけばよかったかも』
「じゃあ、話してくれよ。お前の家族の話でも」
のんびりと家族の事を話した。
私には6人の家族が居ること、贔屓目無しでみんな可愛いこと、そして幸せになってほしいこと
エレンは私の話に黙って耳を傾けていてくれた
「Aは、なんでそこまで家族を思えるんだ」
『私に、居場所をくれたから。両親と育ての父を失った私が楽しく暮らせていたのはあの子達が居てくれたおかげ。だから、その恩を返したくてこんな事やってる』
エレンが翡翠色の瞳の奥に慈愛を含んだ暖かい光をこちらに向けてくる
エレンの脳裏に浮かんだ人を考えて、私の心にも暖かな波が広がる
『エレンも、あの子の事を大切に思ってるしね』
「はっ……！？おま、それ絶対あいつには言うなよ！」
名前も出していないのにたちまち顔を紅潮させて腕を必死に振り回すざまは何とも滑稽だった
『言われなくても、エレンが墓場まで持っていく覚悟をそう易易と口にはしない』
「頼むぞ、本当に」
クスクス笑っていると顔を出した陽が私達を照らす
『そろそろ、部屋に戻る』
「あぁ、そうだな……なぁ、ありがとな」
『こちらこそ、感謝してる』
エレンが少年のようにくしゃりと笑った
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うたねのどあ(プロフ) - 凄く夢主ちゃんの性格など過去などとても大好きです！！更新お待ちしております！！ (12月8日 10時) (
レス) @page8 id: d12e45b1fd (このIDを非表示/違反報告)
豚汁 - 初コメ失礼します！今日イッキ見したんですがサクサク読めてとても満足でした！更新待ってます！無理しない程度に頑張ってくださいね！ (8月9日 0時) (レス) @page6 id: 1de28648f3 (このIDを非表示/違反報告)
〇〇(プロフ) - すっごく好きです！更新待ってます！！ (6月13日 0時) (レス) @page6 id: 1ca5a645cb (このIDを非表示/違反報告)
ゆな - こんな面白い作品を読んだのは初めてです。更新待ってます (2023年4月20日 18時) (レス) @page3 id: 6539e90d25 (このIDを非表示/違反報告)
lokiloki - 続きを恵んで下さい (2023年4月5日 2時) (レス) @page3 id: 4293bf52a2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：蕪 | 作成日時：2023年3月19日 14時
