ア・プリオリ【宮侑】

ただのクラスメートだったのに ページ1

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じりじりとグラウンドを焼くような日差しが億劫だ。
雲一つない晴天は確かに心地いいものはあるけど、嫌でも九月の炎天下に一日中放り出されるこの体育祭くらいは、程よく曇っていてほしいと、ため息を一つ吐いた。

学校行事が嫌いなわけじゃない。授業がなくなるのは嬉しいし、振替休日があるのも嬉しい。

でも体育祭って、シンプルに運動神経がものをいう。
運動ができる人は楽しいけど、運動ができない人、例えば私のように思いっきり文化部にいるような人って、あんまり楽しくないと思う。

まぁ見てる分にはまだいいものの、と日焼け止めを手のひらに出しながらそっちを眺めた。
今グラウンドを走っているのは……クラスメートの宮侑だ。
私が頭に巻いているのと同じ緑色の鉢巻きを頭に巻いて、コースの中に置かれたカードを拾い上げている。

そう、例えば、こいつみたいに体を自由自在に動かせるような奴は、きっと体育祭も楽しいんだろう。
彼の名を呼ぶ声で沸き立つテントに溶け込むように、頑張れー、と声を出してみる。

白いカードを手に持った彼は、きょろきょろとあたりを見回した後、一目散にクラスのテントに駆けてきた。たぶんあれだ、借り物競争。
侑くんなら別にこんな競技に出なくても体力勝負できるのになあ、と思ったが、穴埋めなのかもしれない。
出る競技を決めるときなんて、いかに自分が走らずに済むかしか考えていなかったから、他人がどうとかは全然知らないのだ。

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