＊８＊ ―過去― ページ9
「いいか、レン。
今日は父さんの大切な御友人に招待して頂いたんだ。
その方の御息女はお前と年は近いが、
本格的にパーティー出席するのは初めてらしいからな。
仲良くしてやりなさい」
俺がパーティーに行くようになって1年が過ぎる頃、兄貴にこう言われた記憶がある。
当時5歳だった俺にそんな難しい言葉が理解できたはずがないが、
『パーティーが初めてで、年が近い女の子と仲良くすればいいんだ』
と、何となくでは捉えられていた。
中庭にいると言われたため、軽く場所を教えてもらってから一人で向かった。
この角を曲がれば、すぐそこに＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿
いた。
夜空の一部を切り取ったようで
引き込まれそうになるほど黒い髪と瞳
雪のように白く透き通った肌
白いドレスに身を包んでいた彼女は、幼いながらも本当に美しくて。
ライトアップされた噴水の光が反射して
どうしようもなく儚く見えた。
まるで妖精のように。
「初めてのパーティー、疲れた？」
突然話しかけた俺に驚いて、一瞬顔を綻ばせるとすぐに顔を曇らす彼女。
「……つかれた、けど。
どうせ、あなたもおうちの人に言われてきたんでしょ？」
「うん、お兄ちゃんに言われたんだ」
「わ、わたしとおはなししてもつまらないから！」
「そんなことないと思うけど？」
「きっと、ほかの子とあそんだ方が、たのしいよ……」
今までパーティーに行っても自分より歳上しかいなかった俺にとっては、なんだか妹が出来たみたいで嬉しかった。
兄貴に言われたからっていうのはもう関係無くて、兎に角この子と遊びたかった。
「俺は君と遊びたいの。
俺と遊ぶの、やだ？」
そう言うと、少しの間沈黙が流れる。
噴水の音だけが響いていた。
「いやじゃ、ない……けど、お父様がね、
『名前もしらない人とはあそんじゃダメだ』って言うの」
「名前、教えたら遊んでくれるの？」
「え……えっと、その……」
「レンだよ、神宮寺レン。
君は？」
「……桜糀、A」
「じゃあA、一緒に遊ぼ！」
「……うん！」
初めて見た彼女の笑顔は本当に綺麗だった。
これが、俺とAの出逢い。
14年前の3月14日、Aの4歳の誕生日パーティー。
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儚霧(プロフ) - タナトフィリアさん» コメ有難うございます。ネタはあっても文章が纏まらないので死ぬほど亀更新ですが、精一杯頑張らせて頂く所存です。これからも宜しくお願いしますm(__)m (2018年7月8日 16時) (
レス) id: 4f1bc6d88e (このIDを非表示/違反報告)
タナトフィリア - とっても面白いです！続きがとても気になります！更新楽しみに待ってます！ (2018年7月8日 13時) (レス) id: 41c9a6a89d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：儚霧 | 作者ホームページ：
作成日時：2018年2月14日 1時
