絶対的ヒロイン。 【HQ】

第14話 ページ15

｢沢渡さん、ボトル洗いに行こう？｣

片桐さんにそう言われて私たちは水飲み場に来た。

サラリと私の手を水が流れていくけれど私のモヤモヤを洗い流してはくれなかった。


｢あのね、私西谷くんの事が好きなの。｣

私が何も言えずに困っていると片桐さんは続けて

｢私はあなたには負けたくない。｣


そう淡々と話す片桐さんはいつもの可愛らしい女の子ではなくまるで私のことを品定めしているかのような目だった。


『何言ってんのかさっぱりだよ。』

やっと口から出たのはとぼけたようなセリフだった。

分かってる。彼女が何を言いたいかなんて。

それでも認めたくない。

｢あっそ。取られたって知らないから。｣


片桐さんはそういうと自分が作った分のボトルを持ってスタスタ行ってしまった。

私も急いで作り終えて彼女のあとを追う。

｢皆さん、ドリンクですよ〜！｣

先ほどの冷たい声は消えて可愛らしいおんなのこの声になっていた。

そして片桐さんは夕に近づこうとしてるのが見えた。

私は近くにいた大地さんにお疲れさまです、とボトルを渡し夕のところに素早くはしる。

『夕、お疲れさま。』

私の方が早かったのか夕にボトルを渡すことが出来た。

｢お、ありがとな！｣

夕はそう言って笑う。

私もつられて少し笑った。


認めたくないよ。


私が夕のこと好きだなんて。



片桐さんみたいな可愛い子がライバルなんて。



そんな私の気持ちが加速するまで後少し。

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