25手越side ページ25
…首がひりひりする。頭が痺れているような、へんなかんじ…。
目を開けると、やっぱりあたりは薄暗くて、薬品の匂いがする冷たい部屋のままでガッカリする。縄で縛られたままだし、体が重い。
そばにはあの男が座って、携帯を触っていた。
「って、それ、おれのけいたい…！」
「おやおや、まだ元気だねえ」
「メンバーに変なメール送ったりしてるんじゃねぇよな！？」
「さあね？ていうか、彼らからはなんの連絡も来てないみたいだよ」
「…そんなはずないよ、」
「どうかな？」
「確かめるから、返して…！」
もぞもぞ動いて暴れている俺を横目に、男は俺の携帯を胸元のポケットに入れて、それと同時にスタンガンを取り出した。
…さっき、もしかしてこれで…！
動きを止めて震えはじめた俺に満足そうに笑った男は、傍らにしゃがみこんで俺の頭を撫でた。
「…いい子だ。大人しくしていれば、いいんだよ」
「っ…」
ここから出たい。どうすればいいんだ。暴れたら気絶させられ、メンバーからの連絡も途絶えさせられ、、食事も水分も与えられない。このままじゃ、おれ、、
ううん、こういう時こそ、ポジティブでいなきゃ！からだが3歳児でも、頭脳は大人！あの名探偵になる！
大人しくしていたら、ふっと奥の部屋に消えていく男。
薄暗いなか、棚にたくさん、試験官やらビーカーやらに入った薬品が陳列されているのが見えた。
………
…それから、どれくらい経ったかわからない。窓も何も無い薄暗い部屋で、ただ気を失っては目覚め、気を失っては目覚め、そんな時間をただ過ごしていた。
家族や友達、サッカー仲間、スタッフさん、共演者さん、そして…大好きな、メンバー。
これまでの人生でたくさんの人と出会い、過ごしてきたのに、今の俺の世界には、この人しかいない。
定期的にこの部屋に来て、奥の部屋で薬品を調合したり、横たわり動けずにいる俺の頭を撫でてくれる。…衰弱した俺の心と体の、唯一の憩いの場となってしまっていた。
飲まず食わずが続いて、常に朦朧とするようになった頃、奥の部屋から出てきた彼は俺の目の前にひとつの瓶を置いた。
もう喋ることも出来ず、目線だけあげると、彼は多分微笑んでいた。
「そろそろ水が飲みたいだろ？どうしても喉が乾いたら、これを飲みなさい」
やっと水？迷わずよろよろと瓶に手を伸ばすと、ただし、と付け加えた。
「これを飲むと、もうきみが目覚めることは無いよ。完全な僕のコレクションになるんだ」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 150人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「NEWS」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ぽよよよん(プロフ) - わらびもちさん» 完結おめでとうございます！こんなに一気に完結させるなんて尊敬です(>_<)(ダラダラと書く人)わらびもちさんが書くかわいい手越くん、これからも期待してます(^○^) (2018年5月28日 21時) (
レス) id: d866031783 (このIDを非表示/違反報告)
ゆーり(プロフ) - 読みました！なんか…こういうの書けるってすごいな…！私もがんばるのでわらびもちさんもファイトです！ (2018年5月28日 4時) (レス) id: 7d78faf193 (このIDを非表示/違反報告)
わらびもち(プロフ) - ぽよよよんさん» 前作の長編、大好きでしたo(*ﾟ▽ﾟ*)oありがとうございます、無理やり完結させてしまいました……笑 (2018年5月28日 1時) (レス) id: a63c9a7a8f (このIDを非表示/違反報告)
わらびもち(プロフ) - ゆーりさん» はじめまして、ありがとうございます、そう言って貰えて本当に嬉しいです！深夜に完結させてしまいましたので読んでください！笑 (2018年5月28日 1時) (レス) id: a63c9a7a8f (このIDを非表示/違反報告)
ぽよよよん(プロフ) - わらびもちさん» えええ(>_<)それは嬉しいですっ！沢山更新してくれてありがとうございます！ドキドキする展開でたまらないですね(^○^) (2018年5月27日 22時) (レス) id: d866031783 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：わらびもち | 作成日時：2017年11月19日 17時
