流れ行く浅葱色の風に【創作】 (ページ6)

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伍ノ風ページ6

沖田総司といえば、あの新撰組の剣豪じゃないか。
いま俺はそんな有名人と対峙しているのか。いやいや、コスプレか。上手いコスプレイヤーなのか。成る程。
　

　俺はそうやって頭を落ち着かせる。
刀は模造刀とかいう奴に違いない。本物であるという事は無いだろうし。
どちらにせよ何故こんな所に居るのだろうか。
そもそもここに来る前は何をしていただろうか。思い出せない。

　ふと前にいる二人をみれば楽しそうな目と怪訝そうな目を向けられていた。

「取り敢えず、この部屋を出ていってくれますか。取り調べに呼んでくるように…」

「近藤さんに、なっ」

「チッ…呼んでくるように近藤さんに言われているので」

　なす統べもなく、というか。
嫌そうな顔をした沖田総司は俺の腕をぐいいと引っ張って強制的に立たせる。
転びそうになりながら引き摺られていく。

「こっー此処は何処ですか‼」

「浪士組の屯所です」

「なんですかそれ！」

　その瞬間目の前の戸が開き、腕を放られる。
沖田総司にかかっていた体重が自分の元に戻ってきて、体が傾いた。

　どすんと畳に転がる。

　ぶつけた鼻を擦りながら顔を上げると、

人の悪そうな顔の男を中心に三人の男が座っていた。
そこにはさっきの鬼のような人も居た。