流れ行く浅葱色の風に【創作】 (ページ4)

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参ノ風ページ4

見たことのない舶来品の着物に身を包んだ子供は、耳が壊れるほどの大声で叫ぶと力無くぶら下がったままになった。寝たのだろう。
いや、気を失ったのか。

　俺は溜め息を付くとそいつを運び、元居た部屋に帰す。が、そこには見慣れた男が眠りこけていた。それも、布団を占領して、だ。
そいつを抱えたまま、男を蹴り飛ばす。

「ふごおぉっ⁉てきしゅーか！」

　間抜けにそう叫び、飛び起きるのは我らが浪士組隊士。
８番隊組長藤堂平助。現在19歳。
津藩の子だそうだが深くは聞いていない。

「何故お前が寝ているんだ」

　髪についた癖を揺らしながらへらりと笑う。

「実は、寝ているのを見たら眠くなってきて、気づいたらグッスリですよ」

　悪びれる様子もなく、いや。少しは悪いと思っているのか、目を逸らしながら頭をかいている。ささっと布団を整えると献上するような姿勢をとる。
あはは…と乾いた声で言いながら。

「仕方ないな。次は寝るなよ」

「はーい」

　藤堂と同い年の齋藤よりも性格のせいか幼く見える。
それに漬け込み、幼く振る舞っているような気もする。その点についてはしっかり言い含めなければいけないようだ。

　抱えていた子供を寝かせると部屋を出ていく。
局長の芹沢にも言っておかねばならないとは。面倒極まりない。