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壱ノ風 ページ2
口内が生ぬる鉄の味に支配され、絶えることなく喉に流れ込んでくるような感覚。
その感覚に気持ち悪くなり、薄く目を開く。
どうも見たことのない部屋の中で眠っていたようだ。
障子から差し込む光を見たところ、今は早朝のようだ。
ふと、腰の辺りに重みを感じて上体を起こそうとする。
だが乗っかっている何かをのせいで起き上がれない。
腕を使いい、どうにか上体を上げれば、濃紺の着物に長い少し癖のある髪を束ねた18歳位の男がスヤスヤと眠りこけていた。
今時着物とは珍しいと思ったが、この家の内装からして、洋装は全くそぐわず、和服がこの場ではピッタリだと思える。
今の自分の服装を見てみる。学校の制服だが、上から2つボタンが引きちぎられ、襟には斬り跡があった。
だが、可笑しいではないか。
ボタンが取れていたため寝苦しくはなかったが、相当の不器用でない限り、引きちぎる必要なんてないだろう。
そして襟が斬れているのは…
冷や汗をかきながら、俺は眠っている男の側にめを走らせた。
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作者名:卯月仁那 | 作成日時:2016年10月7日 20時