顔見せ。 ページ6
ASide
ドロップシップから降りるなり、ザ・お付きみたいな今となっては絶滅危惧種の人達がズラリと並んでいた。
「おかえりなさいませ、オクタビオ様。我々一同、貴方様のお帰りを心よりお待ちしておりました。ご無事で何よりです。……そちらはA様、で合っていますでしょうか。」
『えぇ、お初にお目にかかります。A・アイノリと申します。今回はパーティーにお招きいただき、誠に感謝しております。』
「おぉ、まだやんちゃだったオクタビオ様にこんなにしっかりしたお嬢様が……私、感激でございます！」
いや、どこの世界線のやることよ。ソレ。
今時ハンカチを目に、ヨヨヨと泣く執事なんてそうそう居ないぞ。
心の中で悪態をつきつつも、表は不気味な微笑を浮かべたまま、か弱くて庇護欲をそそるような幼気な少女風を演じる。
まんまと騙されて。ミラージュのデコイですら私より上手くやってると言うのに。
「そーゆー堅苦しいのは良いから。会場はどこだ？」
「我々が案内しますゆえ……どうぞ。お車にお乗り下さい。段差にも気をつけて下さいね。」
「わぁってるよ！俺はもうガキじゃないんだ！いちいち言わなくても分かる！」
『ふふ……オクタビオ。躓かないように手を貸して欲しいのかしら？』
「シルバはAの手を借りなきゃいけない位弱いのかな？」
「アッハッハ！こりゃあ傑作だ！」
「ほら、早く行きましょ？じゃないと遅れるわよ？」
今回は常識人が居て助かったが、居なかったらグダグダと茶番が繰り広げられていただろう。
場面は変わって私達は会場へ向かうべく、マフィアでも乗ってそうな黒塗りの大きな車に次々と乗る。
中はティーパーティーなら平気で開けるような広さだった。
『ここまでおもてなしされると逆に申し訳ないです……私達は何の見返りも出来ませんので……。』
「いえいえ、旦那様にも丁重にもてなすように申し付けられていますので。何より貴女様のようなしっかりとしたお嬢様がオクタビオ様とお付き合いされているだけでも、私達にとっては一番の手土産です。」
『そんなしっかりなんて……滅相もないです……！』
「謙遜なさらなくても大丈夫ですよ。」
そう言ってふんわりと微笑む姿は、正に紳士といった風格があった。
良い子ちゃんの演技をもう一回やるだけだ。
奴らはそんな単純明快なことにすら気付かない相当な間抜け。
こんな頭が空っぽの奴らにオクタンの人生を渡してたまるものか。
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おげげいげ - 夢者さん» コメントありがとうございます！良作だなんてそんな……応援、ありがとうございます！ (2021年8月4日 16時) (
レス) id: 2c07cc7f92 (このIDを非表示/違反報告)
夢者(プロフ) - Apex夢があまりにも少なくて更新停止だとかつまらないものが多いのですが、貴方様の小説はとても良作で楽しんで読ませて頂いてます。これからも応援してます。 (2021年7月28日 23時) (レス) id: f5c9ee6f69 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：おげげいげ | 作成日時：2021年7月4日 16時
