斬撃 ページ33
「何すんねんシッマ！ 危うく腕刺さるとこやったぞ」
「いや、避けんお前が悪いやろ」
「何やお前！ 邪魔すんなや。
こっちは真剣勝負しとんねん、クソチワワ！」
「ああ！？」
突如として、シャオロンとコネシマの口論が始まった。
息の詰まるような決闘の緊張感が崩れ、
いつもの御茶会と同じやかましさに変わる。
おいおい、と私達の視線が
驚きと呆れを帯びていく。
敵を余所目に、
仲間内でにらみ合い始めた２人を見て、
暗殺者が困惑し動きが固まった。
ナイフを手にしながらも、どこに向ければ良いか迷っていたようだ。
「……な、何や？ こいつら。」
不安そうに、明らかにオロオロとしていた。
今までこんな状況に陥ったことがないのかもしれない。
頭を抑えてロボロが叫ぶ。
「おい、シャオロンもコネシマも
前向け！ 敵の前やぞ！」
「うっさいねん、チビ！
じゃあお前が出ろ！」
「誰がチビやこら！」
口論に乗り始めたロボロを諫めるように、
トントンが剣を構える。
彼は剣先をまっすぐ暗殺者に向けて
問いかけた。
「お前がゾムか？」
その一言。
怒気と緊張が籠もった声が
部屋に轟いた。
取っ組み合いになりかけていた
3人がやっと正気に戻る。
相手の胸倉を掴んでいた手を離し、
再度、暗殺者に向き合った。
「あ、ああ。そうやけど。
何や、やりづらい連中やなぁ……」
はあ、と息を吐き、暗殺者も再び構え直す。
戸惑っている様子でありながら、
構えに全く隙は無い。
「まあ、どうでもええ。仕事はせんとな。」
その殺気めいた一言で、一気に雰囲気が変わる。
シャオロンも、コネシマも、トントンも、グルッペンも、私も。
皆が一瞬、肌が震えるような気迫に戦いた。
ゾム自身も、それに気づいている。
私達の動きが固まったその一瞬を狙い、
シャオロンとコネシマの間を抜けて
部屋の奥に駆け出す。
獲物の巣に入る蛇のような動きだ。
「待て！」
怒声と共に彼を食い止めたのは、グルッペンだ。
剣の刃を構えて、ゾムの動きを止める。
だが、ゾムはそれすら読んでいたような
滑らかな動きで、ナイフを振るっていた。
頭がさっと冷えていく。
危険信号を鳴らしていた。
『避けろ！』
ゾムのナイフがぐん、と
グルッペンの腕を突いた。
袖を裂き、上腕の皮膚を掠める。
ぼた、と黒い液体が床に垂れた。
『……グルッペン！』
「問題ない！」
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サツキ(プロフ) - ひいいん😭何度読み返しても素敵な作品です（ ; ; ）のんびり更新待ってます‼️ (10月25日 3時) (
レス) @page40 id: 59b14c1ff4 (このIDを非表示/違反報告)
ぬ - めちゃめちゃ好きで先が楽しみです！！更新楽しみに待ってます！ (8月17日 15時) (レス) @page40 id: c9b27d8eb7 (このIDを非表示/違反報告)
亜鉛2℃(プロフ) - 更新ありがとうございます。お待ちしておりました。とても面白くて文に厚みがあって素敵です。これからも楽しみに待っております。 (2023年4月5日 15時) (レス) id: 7a92f90d7d (このIDを非表示/違反報告)
ユズ(プロフ) - 更新ありがとうございます〜!!!!!まじでずっと待ってました!!!!これからも頑張ってください!!!鬼面白いです!!!! (2023年3月29日 20時) (レス) @page39 id: 05561d72b4 (このIDを非表示/違反報告)
六時の虹(プロフ) - 更新ありがとうございます！この小説めっちゃ面白いです！ (2023年3月29日 10時) (レス) @page39 id: 6ed7129851 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：そね
| 作成日時：2020年6月8日 23時
