作戦 ページ28
『どうだった？』
「うまくいった、と思う。」
ひとらんが力強く、慎重に頷く。
エーミールは不安気に目線を彷徨わせていた。
指を絡ませては解してを繰り返している。
「本当に大丈夫でしょうか……」
「うん。大丈夫。」
安心して、と微笑みながら
ひとらんはエーミールの背中をさする。
私も同調するように頷いた。
『絶対守るから。皆も準備万端だよ。』
そう言いながら、上の階、
つまり他の皆が居る場所を指差す。
現在、私たちは迎撃の用意を整えている真っ最中だ。
対暗殺者用の対策を備え、
宿への侵入経路を整備したり、物資を揃えたりしている。
近い日に来る迎撃に向けて、気を引き締めているのだ。
『ひとらん、エーミールも撒き餌役おつかれ。』
「撒き餌役って。」
ひとらんは苦笑し、エーミールは首を傾げる。
────暗殺者に狙われる危険性のあるエーミールをわざわざ街に出したのは、
敵を宿まで、誘き出すためだ。
ひとらんにエーミールを護衛させつつ、
街の花屋と接触させた。
そこで、“訳あって、現在エーミールが宿屋に宿泊している”という状況を
それとなく花屋だけに見せる。
そうすれば、花屋を通してゾム側にも情報が行き、
近い内にゾムがこの宿屋を襲いに来るはずだ。
そういう算段で、ちょっと危ない手に出てみたのだ。
『２人は少し休んで。
終わったら、上の皆の手伝いしてくれ。』
「分かった。」
「了解です！」
ひとらんとエーミールは既に疲労困憊に見えた。
早く体力を温存してもらわないと、と思いつつ、彼らの背中を見送る。
「──Aさん、ハーブティー淹れたわよ。」
『え？』
穏やかなマダムの声に驚く。
見ると、グルッペンのお母様がティーセットを用意していた。
我々自警団と、グルッペンの御両親、全員分の13個のカップが並んでいる。
『あ、ありがとうございます！ 皆呼びますね。』
とそのお盆に手を伸ばす。
「ああ、いいのよ。私が呼ぶわ。」
グルッペンのお母様は笑いながら、
上の階を見上げていた。
「でも、あの子達って今何してるの？」
『まぁ、学校で習ったことの復習みたいな感じです。』
騎士学校では格闘技や攻撃魔法なども習うので、嘘ではない。
だが、そんな私の誤魔化しなど知らない彼女は、朗らかに頬を緩めた。
「あらぁ、偉いわ。お茶菓子もあるから召し上がってね。」
優しいグルッペンのお母様。その姿に、少し罪悪感を覚えた。
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サツキ(プロフ) - ひいいん😭何度読み返しても素敵な作品です（ ; ; ）のんびり更新待ってます‼️ (10月25日 3時) (
レス) @page40 id: 59b14c1ff4 (このIDを非表示/違反報告)
ぬ - めちゃめちゃ好きで先が楽しみです！！更新楽しみに待ってます！ (8月17日 15時) (レス) @page40 id: c9b27d8eb7 (このIDを非表示/違反報告)
亜鉛2℃(プロフ) - 更新ありがとうございます。お待ちしておりました。とても面白くて文に厚みがあって素敵です。これからも楽しみに待っております。 (2023年4月5日 15時) (レス) id: 7a92f90d7d (このIDを非表示/違反報告)
ユズ(プロフ) - 更新ありがとうございます〜!!!!!まじでずっと待ってました!!!!これからも頑張ってください!!!鬼面白いです!!!! (2023年3月29日 20時) (レス) @page39 id: 05561d72b4 (このIDを非表示/違反報告)
六時の虹(プロフ) - 更新ありがとうございます！この小説めっちゃ面白いです！ (2023年3月29日 10時) (レス) @page39 id: 6ed7129851 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：そね
| 作成日時：2020年6月8日 23時
