決意に向けて ページ25
オスマンはそこで徐に目を開いた。
ゆっくりと瞬きして、深い緑の光をまたたかせる。
久しぶりに見た彼の神秘的な目の色に、つい意識が向いてしまう。
参謀的立ち位置であるオスマンが動いたことで、
場の雰囲気はさらに堅くなっていつた。
「この近辺には平民しかいない。
だのに一瞬で貴族だと見抜いたのは確かにおかしい。
花屋の女の子が暗黒街を行き来しているのがほんまやとしたら、さらに。」
彼はそこがどうも引っかかるらしく、
俯いて考え込んでいた。
オスマンが肯定的な態度を示したことで、
さらに仮説の信憑性が増していく。
これは、もしかすると。
そう考えるのは、極めて自然な思考だった。
「だとすれば、逆にチャンスかもしれん。」
グルッペンの言葉に、全員の動きが止まる。
「エーミールがここに居ることを、
花屋に知らせよう。
そして暗殺者に情報を流してもらえば、
そいつは必ず急いでここに来る。
必ず来ると分かっているなら、
怖いことはない。
侵入してきたところを皆で取り押さえて、
雇い主を吐かせる。」
グルッペンの提案が、
重く室内に響いた。
誰もが皆、その意味を丁寧に咀嚼し、
曖昧に顔を歪める。
グルッペンの言葉が荒唐無稽に聞こえたからではない。
むしろ、その逆。
その提案に従いたいからこそ、こうならざるをえなかった。
────皆、この提案がどれほど危険か、ということは把握している。
完全無傷で済めば奇跡的、数人軽傷でもまあ良し。
命を落とす人も出る危険性がある。
最悪の場合、全員がそうなることも考えられる。
何故なら、相手は日頃から
人を殺しているプロフェッショナルなのだから。
それでも、彼がその案を提示したのは、
エーミールにとってそれが最善だと
考えたからだ。
エーミールの命を確実に守るためには、
とにかく早く暗殺者の身柄を抑えて
依頼主を特定する他無い。
リスクを恐れて長引かせるよりも、
人手が集まった今の内に敵を出迎えて
一気にケリを付けるべきだ。
皆、多少の危険は覚悟しなければならない。
決断の時が来たということだ、と
私は深呼吸した。
息を吐いたり、肩を回したり、怖々と周囲を見渡したりと、
皆がそれぞれの反応を見せる。
「────分かりました。やりましょう。」
重苦しい沈黙を破ったのは、
エーミールの声だった。
小さく震える、頼りない声だったが、
確かな決意が籠もっている。
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サツキ(プロフ) - ひいいん😭何度読み返しても素敵な作品です（ ; ; ）のんびり更新待ってます‼️ (10月25日 3時) (
レス) @page40 id: 59b14c1ff4 (このIDを非表示/違反報告)
ぬ - めちゃめちゃ好きで先が楽しみです！！更新楽しみに待ってます！ (8月17日 15時) (レス) @page40 id: c9b27d8eb7 (このIDを非表示/違反報告)
亜鉛2℃(プロフ) - 更新ありがとうございます。お待ちしておりました。とても面白くて文に厚みがあって素敵です。これからも楽しみに待っております。 (2023年4月5日 15時) (レス) id: 7a92f90d7d (このIDを非表示/違反報告)
ユズ(プロフ) - 更新ありがとうございます〜!!!!!まじでずっと待ってました!!!!これからも頑張ってください!!!鬼面白いです!!!! (2023年3月29日 20時) (レス) @page39 id: 05561d72b4 (このIDを非表示/違反報告)
六時の虹(プロフ) - 更新ありがとうございます！この小説めっちゃ面白いです！ (2023年3月29日 10時) (レス) @page39 id: 6ed7129851 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：そね
| 作成日時：2020年6月8日 23時
