サガというもの ページ18
宿に残っている面子でエーミール以外の者は、
オスマン、ロボロ、大先生、私。
この4人でエーミール周辺の警戒と
宿屋周りの見回りを交代しながら行うことになった。
かくして、見回り当番の時間になった私とオスマンは、
双眼鏡と短剣を携えて外に出た。
宿の扉をくぐり、喧騒の中に飛び出す。
「さて、とりあえず周囲パトロールやな。」と、オスマンが首を回す。
朝市が近いらしく、
宿の周りは人で賑やかだ。
ここまで人の流れが多いと、暗殺者も紛れやすくなるかもしれない。
多分この中には、まだ外で見回りを続けている
大先生がいるはずだが。
『大先生はどこに居るのかな。』
「もしかして……あれか？」
オスマンは目をギュッと細めた後に、
数十メートル先にある人影を指さした。
そこには、可憐な女性と、
どこで購入したのか、赤い花を手に持って
彼女に声を掛けている大先生の姿があった。
明らかに女性は困惑しており、大先生は逆に嬉々としている。
「麗しいお嬢さん、
なんて可愛らしい方なんだ。
お近付きの印に貴方にこの赤い薔薇を…………」
「おいおい大先生。何しとんねん。」
『よくもまあ、こんな朝っぱらから。』
「ひいっ！」
ゆっくりと後ろから近寄り、静かに注意する。
突然現れたオスマンと私の姿に、
彼は相当驚いたようで、飛び上がって目を見開いていた。
『大先生、私は見回りしろとは言ったが、
ナンパしろと言った覚えは無いよ。』
「ああ〜……いやあ、ちょっと、ナンパとかじゃなくてなあ。ちょっとほら、挨拶というか。」
「挨拶なあ……あ、すみませんお嬢さん。行ってええよ。」
オスマンが会釈すると、
町娘はほっとしたように頷いて去っていった。
名残惜しそうに顔を歪めて
大先生は彼女の背中を目で追いかける。
『ちゃんと警備する気あるの？』
「いやいやほんまに！
真面目に回ってたんやけだな、たまたま花屋に声掛けられて、
たまたまあの可愛いらしい娘も見つけて……」
言い訳がましく両手を広げて弁明する大先生に
オスマンは苦笑する。
「とりあえず、次の見回り当番は俺達やから。
大先生は宿戻っといてや。」
「分かった分かった。
じゃあなーマンちゃん。Aちゃん。」
手を振り、とぼとぼと退散する大先生。
彼に見回りは向いていないようだ。
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サツキ(プロフ) - ひいいん😭何度読み返しても素敵な作品です（ ; ; ）のんびり更新待ってます‼️ (10月25日 3時) (
レス) @page40 id: 59b14c1ff4 (このIDを非表示/違反報告)
ぬ - めちゃめちゃ好きで先が楽しみです！！更新楽しみに待ってます！ (8月17日 15時) (レス) @page40 id: c9b27d8eb7 (このIDを非表示/違反報告)
亜鉛2℃(プロフ) - 更新ありがとうございます。お待ちしておりました。とても面白くて文に厚みがあって素敵です。これからも楽しみに待っております。 (2023年4月5日 15時) (レス) id: 7a92f90d7d (このIDを非表示/違反報告)
ユズ(プロフ) - 更新ありがとうございます〜!!!!!まじでずっと待ってました!!!!これからも頑張ってください!!!鬼面白いです!!!! (2023年3月29日 20時) (レス) @page39 id: 05561d72b4 (このIDを非表示/違反報告)
六時の虹(プロフ) - 更新ありがとうございます！この小説めっちゃ面白いです！ (2023年3月29日 10時) (レス) @page39 id: 6ed7129851 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：そね
| 作成日時：2020年6月8日 23時
