裏口に気をつけろ ページ8
数分後、
私逹はその酒場の裏口に突っ立っていた。
最初は中に入り、
独立推進派の輩を探したが、どうもそれらしい人はいない。
店員も同様にそうだし、
アジトに繋がりそうな入口も無かった。
嫌な感じは、気のせいだったか。
そう思って、店を後にしようとした際に
見つけてしまった。
『…………悪夢でしょうか。』
「現実ですよ。」
酒場の裏口、
建物の間の暗い小道に面するその場所に
爆弾が仕掛けられていた。
「へえ、思ったより上等な爆弾ですね。」
『爆弾に上等も何もありますか。
ちょっと、迂闊に触らないで下さい！』
また、目をキラキラさせている教授を、
無理やり襟を引っ張って止める。
────混乱してんだよ！！ 動くな！！
その爆弾は酒瓶を入れるための箱に紛れて、
裏口近くに設置されていた。
裏口の横に箱は高く詰まれているので、
一見すると側からは分からないのだが、
エーミール教授はすぐに見抜いてみせた。
流石だ。
『何故爆弾が。』
「…………成程、そういう事ですか。」
頭がクエスチョンマークで埋め尽くされた私を余所に、
教授は、ポン、と手を打った。
「A少佐。
これは例の敵組織が仕掛けた物です。
先程の我々軍の偽物さんも含めて。」
『どういう事でしょうか。』
素直に尋ねると、
エーミール教授は淡々と答えた。
「先ず、彼等は、
“この酒場に独立推進派組織が頻繁に出入りしている。”と言う噂を流す。
次に、我々軍の偽物を用意して、この酒場に出入りさせる。
そして、此処で爆弾事件を起こす。
すると、“我々軍人が、
独立推進派組織を壊滅させるために
爆弾を設置して、一般市民を犠牲にした。”
という噂が立ちます。
そうなると、
世論は反我々国に一気に傾くでしょうし、
独立推進派が優勢になるでしょうね。」
『そんな、無茶苦茶な…………』
────市民を多数爆死させてまで、
我々国を悪者に仕立て上げたいのか!?
でも、有り得ない話ではない。
独立推進派は、それぐらい我々国を恨んでいる。
ぶっちゃけやりかねない。
────それにしても、ヤバい。
爆弾はそこそこ大きく、
成人が両手で抱えてやっと持てる位。
きっとこれが爆発したら、
酒場どころか周囲の建物全て木っ端微塵だ。
『警察を呼びます。』
「待って下さいA少佐。」
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ユズリハ(プロフ) - はじめまして、深夜にコメント失礼します。「段階を踏め｣のkn氏の「あのd/先/生は、10代の頃のd/先/生なんやな｣というセリフが本当に素敵で、読んだ後しばらくセリフを反芻してしまいました。u/先/生の気持ちを想像して本当に素敵な文章だと感じました。応援してます (2021年3月15日 4時) (
レス) id: 4ab6b4c8e6 (このIDを非表示/違反報告)
そね(プロフ) - どらこさん» コメントありがとうございます。日課だなんて恐れ多い位嬉しいです。どらこさんもお身体にお気をつけて下さい。 (2020年5月4日 20時) (レス) id: a65daacb18 (このIDを非表示/違反報告)
どらこ - 毎日そねさんの作品を見るのが日課になっています！素敵な作品をありがとうございます、お体にはお気をつけて！ (2020年5月3日 19時) (レス) id: f300ebe4ea (このIDを非表示/違反報告)
そね(プロフ) - しおりんさん» 前作からコメントありがとうございます。勝負の結果は最後まで悩んでいたのですが、お褒め頂いて嬉しいです。コロシアム良いですよね。 (2020年5月3日 18時) (レス) id: a65daacb18 (このIDを非表示/違反報告)
しおりん - (敬語出来てるかな？タメ口になりそうだな〜語彙力溶けてそう､､いや溶けた) (2020年5月2日 23時) (レス) id: 527cd6ca75 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：そね
| 作成日時：2020年4月26日 0時
