実戦訓練 ページ36
────なんて会話もしたなあ、
と暖かな記憶がよぎった。
コネシマ隊長の太陽のような笑顔を思い出す。
朝、第7訓練場に向かっていた。
日差しが眩しい廊下を渡る。
1週間が過ぎるのはあっという間であった。
私はゾム隊で行っていた、
筋力トレーニングやナイフの素振りを繰り返した。
それもこれも、今日の実戦訓練のためだ。
────勝てなくてもいいんだけどね。
頑張っても、多分勝てないし。
でも、いい勝負はしたいから、
それなりに鍛錬を積んだ。
まだまだ遠い話だと思っていたが、
当日がこんなに早く訪れるとは、体感は速い物だ。
私はいつも通りの、軍服を身につけている。
これの方が慣れているし、機能性も申し分ない。
身も引き締まる。
背筋をまっすぐ伸ばし、
扉の前で立ち止まる。
────よし。
ギッ、と両扉を開き、
訓練場に入った。
「…………お早うございます。」
『お早うございます。』
視界に先ず飛び込んで来たのは、
オプロイテ団長だった。
金糸のような美しい髪が朝日に輝いている。
彼女は騎士の正装らしい、鎧で身を包んでいる。
「こんな形でまた会うとはね。」
『私も驚いています。』
周りを見渡す。
この屋外訓練場はまさしく、コロッセオのようで、
円形の闘技場が中心にあり、
それを囲むように客席が並んでいる。
まだ開始30分前だが、既に人で溢れていた。
正面で、木製の剣を構えるオプロイテ団長は、
厳しい目つきで私を見据えている。
「悪いけど、手を抜いて頂けないかしら。
オスマン様のご推薦を頂いた以上、
負ける訳にはいかないの。
貴女が早々に降参してくれるなら、
無駄な怪我をさせずに済むわ。」
『…………申し訳ありません。』
私も内ポケットから、
ゴム製のナイフを取り出す。
『私にも、簡単に負けられない理由はありますので、
降参は無理です。』
「まあ、そうよね。」
オプロイテ団長は、駄目元で問い掛けていたようだった。
はあ、と呆れたように溜息をつく。
「なら、恨みっこ無しよ。」
『はい。』
────まあ、ボロ負けしなきゃ良い訳だから、
いい感じに接戦を演出して負けよう。
私が僅かに目を細めて笑うと、
殺気立った彼女が、眉を吊り上げた。
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ユズリハ(プロフ) - はじめまして、深夜にコメント失礼します。「段階を踏め｣のkn氏の「あのd/先/生は、10代の頃のd/先/生なんやな｣というセリフが本当に素敵で、読んだ後しばらくセリフを反芻してしまいました。u/先/生の気持ちを想像して本当に素敵な文章だと感じました。応援してます (2021年3月15日 4時) (
レス) id: 4ab6b4c8e6 (このIDを非表示/違反報告)
そね(プロフ) - どらこさん» コメントありがとうございます。日課だなんて恐れ多い位嬉しいです。どらこさんもお身体にお気をつけて下さい。 (2020年5月4日 20時) (レス) id: a65daacb18 (このIDを非表示/違反報告)
どらこ - 毎日そねさんの作品を見るのが日課になっています！素敵な作品をありがとうございます、お体にはお気をつけて！ (2020年5月3日 19時) (レス) id: f300ebe4ea (このIDを非表示/違反報告)
そね(プロフ) - しおりんさん» 前作からコメントありがとうございます。勝負の結果は最後まで悩んでいたのですが、お褒め頂いて嬉しいです。コロシアム良いですよね。 (2020年5月3日 18時) (レス) id: a65daacb18 (このIDを非表示/違反報告)
しおりん - (敬語出来てるかな？タメ口になりそうだな〜語彙力溶けてそう､､いや溶けた) (2020年5月2日 23時) (レス) id: 527cd6ca75 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：そね
| 作成日時：2020年4月26日 0時
