ストップウォッチ ページ34
コネシマ隊長は、
本当に声が大きいな、と思った。
私が喫煙所で休憩していると、
横から彼が挨拶してきたのだ。
「よお、A少佐！」
『お疲れ様です。コネシマ隊長。』
「ああ、敬礼ええわ、堅苦しいし。」
コネシマ隊長は、相変わらず、
半袖と半ズボンのままである。
金髪碧眼でかなり造形が整った顔立ちなのに、
子供のような服装なので非常にミスマッチだ。
「聞いたわ。
××国で爆弾事件あったんやな。
エーミールと解体したんやろ？」
『解除されたのはエーミール教授だけです。』
「そうなんか。
でも、俺が聞きたいのはその後なんやけど、
エーミールを小型爆弾から守ろうとしたらしいやんか。」
コネシマ隊長は、
空色の瞳を色鮮やかに輝かせる。
此方を試すような目つきだった。
私は背中が寒くなって目を逸らす。
『あんなの守る内にも入りませんよ。
2人揃って慌てて逃げ出しただけです。
結局、それもチーノ隊長の指揮のお陰で爆発もしなかったですし。』
「でも、エーミールの事庇おうとしたんやろ。」
『…………それは誰が仰ったんですか。』
「途中から爆弾を監視していた、ある少尉がな。」
一瞬、たじろいだ。
監視の兵士が居たのは知っていたが、
あれを見られていたとは思っていなかった。
少し目の輝きを和らげたコネシマ隊長は、
ポン、と私の背中を優しく叩いた。
緩やかに彼の口角が上がる。
「よくやった。」
『…………』
「迷い無く上官を守ったお前の行動は、
軍人としては、素晴らしいもんやで。」
彼は、犬歯を見せてケラケラと笑った。
その言葉や笑顔には、嘘を感じられなかった。
────やっぱり、そうだよな。
私は、心の中でそっと安心した。
私の行動は、軍人としては絶対間違っていない筈だ。
でも。
「でも、大先生は随分お怒りみたいやな。」
『…………はい。』
私が紡ごうとした言葉を、
代わりにコネシマ隊長が口にした。
彼は、悩ましげに顔を歪める。
投げやりに両腕を乱暴に伸ばし、唸った。
「何で、大先生はお前を守ろうとするんやろ。
アイツが幹部に就いてから結構経つけど、
こんなに1人の兵士に肩入れすること無かったわ。」
『………恐らく。』
目を伏せて、言葉を続けた。
『彼の中で、
私はまだ幼子なのだと思います。』
「ん？ どういう事や。」
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ユズリハ(プロフ) - はじめまして、深夜にコメント失礼します。「段階を踏め｣のkn氏の「あのd/先/生は、10代の頃のd/先/生なんやな｣というセリフが本当に素敵で、読んだ後しばらくセリフを反芻してしまいました。u/先/生の気持ちを想像して本当に素敵な文章だと感じました。応援してます (2021年3月15日 4時) (
レス) id: 4ab6b4c8e6 (このIDを非表示/違反報告)
そね(プロフ) - どらこさん» コメントありがとうございます。日課だなんて恐れ多い位嬉しいです。どらこさんもお身体にお気をつけて下さい。 (2020年5月4日 20時) (レス) id: a65daacb18 (このIDを非表示/違反報告)
どらこ - 毎日そねさんの作品を見るのが日課になっています！素敵な作品をありがとうございます、お体にはお気をつけて！ (2020年5月3日 19時) (レス) id: f300ebe4ea (このIDを非表示/違反報告)
そね(プロフ) - しおりんさん» 前作からコメントありがとうございます。勝負の結果は最後まで悩んでいたのですが、お褒め頂いて嬉しいです。コロシアム良いですよね。 (2020年5月3日 18時) (レス) id: a65daacb18 (このIDを非表示/違反報告)
しおりん - (敬語出来てるかな？タメ口になりそうだな〜語彙力溶けてそう､､いや溶けた) (2020年5月2日 23時) (レス) id: 527cd6ca75 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：そね
| 作成日時：2020年4月26日 0時
