譲れない話 ページ33
顔を見合わせる2人の前で、
思い切り頭を下げながら、ほくそ笑む。
────やった〜〜〜〜！
兵站軍人気UPに貢献するんじゃ〜〜〜！！
鬱先生の過保護も治すんじゃ〜〜！
「へっくし。」
「何や大先生、風邪か。伝染す前に出てけよ。」
「シャオちゃん、酷ない？」
鼻水を啜る鬱を、
鬱陶しそうに手で払うシャオロン。
暇つぶしに書庫にタムロしていた2人は、
とりとめもなく会話を続けた。
「多分噂されとるんや。
あーモテる男は辛いなあ。」
「捨てた女が恨んどるだけやろ。
毎回適当に手ぇ出して。」
「ライフラインやから。しゃーない。」
はあ、とシャオロンは溜息混じりに頬杖をつく。
「お前さあ、
A少佐の事もそれ位雑に扱わんの？」
「は？」
「あの子だけ特別扱いやんか。」
シャオロンが率直に尋ねると、
一気に機嫌を悪くしたような鬱が
突然立ち上がり、歯切れ悪く弁明する。
「違う、A少佐はそういうん違うわ！
友達やって言うたやろ前に。」
「友達って。
…………まあ、仮に大先生の言葉信じるとしても、
友達にしては、大先生あの子に過保護すぎるんちゃう？
はっきり言って変やぞ。」
歯に衣を着せないシャオロンを前に、
鬱は言葉に詰まる。
「やって…………
友達には怪我して欲しくないし、
虐めも受けて欲しくないやろ。」
「はえー。
ピュアな事言うんやなあ、大先生。」
シャオロンは大きく目を見開いて呟く。
揶揄しているのではなく、本当に驚いて出た言葉だった。
鬱は気恥ずかしくなって、視線を逸らした。
「でもな大先生、ここ軍隊やで。
心身共に完全無傷っていうのは、
流石に無理やぞ。」
「…………」
手持ち無沙汰に読んでいた文庫本をパラパラ捲りながら、
シャオロンは平淡な調子で話し続ける。
「グルッペンも言うとったんやろうけど、
そんな心配すんな。
A少佐の事、
もっと信じてやってもええんちゃう？
大先生は、もうちょっと肩の力抜いてええよ。」
「…………お気遣い痛みいるわ。」
自嘲気味に鬱は笑い、席を立った。
シャオロンは彼の背中を黙って目で追う。
「煙草吸ってくる。」
重い扉が開き、
1人だけが書庫に残された。
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ユズリハ(プロフ) - はじめまして、深夜にコメント失礼します。「段階を踏め｣のkn氏の「あのd/先/生は、10代の頃のd/先/生なんやな｣というセリフが本当に素敵で、読んだ後しばらくセリフを反芻してしまいました。u/先/生の気持ちを想像して本当に素敵な文章だと感じました。応援してます (2021年3月15日 4時) (
レス) id: 4ab6b4c8e6 (このIDを非表示/違反報告)
そね(プロフ) - どらこさん» コメントありがとうございます。日課だなんて恐れ多い位嬉しいです。どらこさんもお身体にお気をつけて下さい。 (2020年5月4日 20時) (レス) id: a65daacb18 (このIDを非表示/違反報告)
どらこ - 毎日そねさんの作品を見るのが日課になっています！素敵な作品をありがとうございます、お体にはお気をつけて！ (2020年5月3日 19時) (レス) id: f300ebe4ea (このIDを非表示/違反報告)
そね(プロフ) - しおりんさん» 前作からコメントありがとうございます。勝負の結果は最後まで悩んでいたのですが、お褒め頂いて嬉しいです。コロシアム良いですよね。 (2020年5月3日 18時) (レス) id: a65daacb18 (このIDを非表示/違反報告)
しおりん - (敬語出来てるかな？タメ口になりそうだな〜語彙力溶けてそう､､いや溶けた) (2020年5月2日 23時) (レス) id: 527cd6ca75 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：そね
| 作成日時：2020年4月26日 0時
