君の季節〈ハル〉 (ページ4)

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昨日の帰り、課長に言われた一言がどうも気にかかる。

「お前の好みそうなやつ連れて行くから、絶対気合い入れてきた方がいいぞ」

なんですかそれ。

課長が連れて来てくれる人ならいい人ばかりなんだろうけど

もともと男の人というか、恋愛というかにそんなに

興味がない。

前課長に彼氏いるの？って聞かれた時に

『ファイターズが恋人です』

って答えたら可哀想な目で見られた過去があるくらいには

野球だけが私にときめきをくれるもの。

あとはそう、中でもやっぱり遥輝さん。

あの人はすごい。

足の速さと腕の筋肉が素晴らしい。

『西川遥輝選手が限りなく恋に近い憧れです』

って言った時も呆れたような目で見られた。

...ってことは遥輝さんに似てる感じの人がいるってこと？

でも、顔が似てようが性格が似てようが彼は唯一無二。

はーい、とだけ答えて適当にその場をやり過ごす。

第一に私だって20代前半の女だよ、

服やメイクに興味くらいあるから安心してください。

「おっいつも可愛いけど今日は7割増しで可愛い」

『セクハラですか？』

「褒めてんだから素直に受け取れよ、笑」

服もメイクもいつもより少し可愛く気合いを入れてきた。

今日は華の金曜日

世間はちょっと浮かれててみんな笑顔をこらえてる。

少しだけ、少しだけ胸が高鳴る。

「結城、行くぞー」

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