カサブランカ・キス【Ren.M】

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彼の胸から聞こえる心拍音が







少し早いことに気付き、







何だか愛しさが芽生えていると







耳元で









『おやすみ、またね。』









と言ってきた。









耳が弱い私を知ってか知らずか、







甘い声で囁いてきた彼に







少し照れてしまった。









自分の頬が熱くなっていることに気付いて







背中に回されていた手の力が緩くなっている隙に







急いで彼から離れた。









『お、照れてる？』







「照れてない！！」







『ははっ、ごめんごめん。





あ、コレ、俺の連絡先ね。





じゃ、気を付けてね、おやすみ。』









と言いながら







彼はタクシーに乗って







来た道を戻って行った。







今日色々あったな…と思いつつ、







ふと考えると、







名前を教えてもらってないことに気付いた。









急いで、さっきもらった連絡先に







電話を掛けようと、紙を開くと









『目黒蓮 ０９０……』







と書かれていた。









あ、名前……







丁寧に名前の上にフリガナが書いてあって、







メグロレン







という名前だということを知った。







なんだか、顔だけじゃなく







名前もカッコイイんだなと素直に思った。









自分の名前も教えていないし、







私がこの連絡先に電話を掛けなければ







始まらない関係だということは分かっていた。









だけど、







ゲームへの好奇心の方が勝ち、







電話しないという選択肢は自分の中にはなかった。

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