第八夜 ページ10
その日から、智の寝ずの看病が続いた。
医者に聞いた通りに布を変え、
翔の汗を拭い、
いつものように話を聞かせ、
これで翔が助かる。
その一心で毎日、毎日、看病をした。
『…っ、』
「起きたか？」
『…さ、とし…どの』
「あぁ、何だ？…水か？、薬もあるぞ！」
必死にこちらに手を伸ばして、起き上がろうとする翔。
「起きるのか？」
今にも壊れそうな体を抱える。
「ほれ、水じゃ」
水を飲ませてやる。少し、口の端から零しながらもゆっくりと口にするのを見て、安心する。
『…はぁ、ありがとうございます』
「よいわ、薬も…ほら」
『…っ、…はぁ』
「もう寝ろ、な？」
『まって…、まだあとちょっとだけ』
「どうした？」
『…あなたと、おりたいのです』
「居るぞ、ここにほら…な？居るではないか。共に」
『…ふぅ…っ…』
「な、何故泣く？どこか痛いか？苦しいのか？」
必死に首を横に振る翔。
『まだ、私と夫婦になりたいですか』
「勿論じゃ！なりたいぞ？」
『こんな私でもですか、』
「いきなりどうしたのじゃ」
『病に侵され、外にも出られず…あと僅か、いつ死ぬかもわからぬ私と…それでも夫婦になりたいと、』
「、、お前は死なん。俺のものになるんじゃ」
『ふふっ…変わった男ですね』
「やはり、翔殿は笑った方が良い」
『智殿も。…ねぇ、少しお話を聞かせてあげましょうか』
「今日は、翔殿から？」
『ええ。ある、男の話です。』
「…男？」
『ふふふ、そんなに怒らないでくださいな』
「す、すまん」
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作者名：さんま | 作成日時：2018年3月14日 4時
