もっと…【OS】 (ページ8)

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第六夜ページ8

「翔殿～！」

…

「ありゃ？…翔殿～？」

返事がしない。

もしかして、出てってしまったんだろうか？

狭い部屋を探す。

奥の暗い方から乱れた息遣いが微かに聞こえる。

「翔！？」

そこには翔が横たわっていた。

走り寄って、抱える。

いつもなら触らないでと言うのに

拒否できないほど弱った翔に驚きながら叫ぶ。

「翔！翔！おい、目ぇ開けろ！」

『っ、はぁ…はぁ』

苦しげに、息をする翔。

ゆっくりと、開かれた瞳は潤っていた。

『さ、とし…どの…』

「どうしたんじゃ！？…敵か、何奴がっ…」

僅かに首を横に振る翔。

『…お出迎え、できな、くて…ごめっ…さ』

「よい！良いから、…喋らずにおれ」

霧笛…智は焦っていた。

今にも息絶えそうな翔をなんとしても救いたかったが、

いかんせん人を生かすなどという考えを持ったことがないのだ。

どうすれば良いか分からず、暫く考える。

その間にでも、翔は消えてしまいそうだった。

その度に名を呼び、ゆっくりとだが頷く翔に心を落ち着かせながら

決して利口ではない頭で必死に考えていた。

近くの医者に見てもらう事をようやく思いついた智は翔をもう一度しっかり抱え、

誰にも見られないように毛布で覆い、

「今、助けてやるからな」

翔と共に闇に消えた。