第四夜 ページ6
「翔殿〜！」
『おかえりなさいませ』
「おう、今日はな…」
あれから毎日、その日にあったことを家に居る翔に話して聞かせた。
その度に、羨ましそうな顔をするから
翔殿もやろう！と誘うのだが
『私は家にいます』
そう行って未だに外に出たことがない。
『刺客殿、明日は川のお話が聞きたいわ。川に行ってきてくださらない？』
「え、ええ！勿論じゃ！…ですがね翔殿。そろそろ、刺客殿はやめてくだせぇよ」
『あら、では名を教えてくださいな』
「…霧笛ではいかんのか？」
『ええ。それとも私に名を明かさずに夫婦になるおつもりで？』
「…ないのじゃ。」
『え？』
「幼き頃に国に買われて来た。」
『…』
変な気持ちだ。
今まではそんな事どうとも思っていなかったのに
翔に名を言えないことが、嫌だと思う。
『…智』
「え？」
『あなたの名は今日より、智殿です』
「…さ、とし」
『ええ。これから先、あなたが霧笛と呼ばれようともあなたの真の名は智です』
「そうか、…智か」
『嫌でございますか？』
「いや、嬉しい。翔に呼ばれる名は嬉しい」
『大袈裟です』
「まぁ、そう照れるな」
『照れてません！』
「ははっ、赤くなりよる」
『もう！寝ますよ』
「共にか？」
『なっ！？』
「嘘じゃよ」
『…けど』
「ん？」
『別に良いですけど！』
「ぬぉっ！？」
『い、嫌なら良いです！』
「嬉しいぞ！嬉しいから、入れてくれ！」
『…どうぞ』
「んふふ、お顔を見せておくれ」
『嫌でございます』
「なんでじゃあ〜、赤くて可愛いではないか」
『可愛くございません！』
「ふは、もっとちこうよれ」
顔を隠したまま、ゆっくりと寄ってくる翔が可愛くて、
その夜は翔を抱きしめて寝た。
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割とすぐに智の名が出てきましたわ
嘘ついてすびばでんでちだ
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作者名：さんま | 作成日時：2018年3月14日 4時
