第二夜 ページ4
天井裏から壁を外して、中を除く
「ありゃ、ここはどこぞ？」
部屋に1人、女が寝ている。
美しい
そう思った。
音を立てずに降り立つ。
「綺麗じゃのう。」
その女は、近くで見れば見るほど美しかった。
月光に照らされた白い肌は、陶器のようだったし、
それに対比してより一層惹かれる真っ赤な唇は、
艶やかで、それは自分が今まで見てきたどんなものよりもあたたかそうだった。
小さく、すこし憂いを帯びた顔を
自分ができる限り、最大限に優しく両手で包んだ。
とは言っても、優しくしたことなどないから
壊れないか、不安でたまらなかったが。
この者を手に入れる。
この者が欲しい。
初めての感情に、戸惑いながら、
心のままに、術をかけた。
「よいか、今お前は俺の術の中にいる。
声は出せない。
そしてお前は俺の嫁にな『刺客ですか。』
ありゃ」
『いますぐ私を離しなさい。さもなくば貴方を捕まえます。』
「わ、分かったよ」
とりあえず、手を離し、数歩ほど下がる。
急いで、起き上がる俺の嫁。
『コホッコホッ』
そのせいか、咳き込む彼女に
慌てて駆け寄る。
「だ、大丈夫か？」
『近づかないで！コホッ』
背中を摩ろうと伸ばした手は空を切った。
『ふぅ…あなたは誰ですか』
落ち着いたのか、綺麗な佇まいで聞いてくる。
やっぱり嫁にしよう。
「あ、いや俺は…霧笛ってよばれてます」
『そうですか。…霧笛？』
「お、お前は？」
『お前…私は、翔と申します。では、霧笛殿。あなたはなぜここにいるのですか？』
「いや、部屋を間違えたのじゃ。すまんかったのぅ」
『どこに行くつもりなのですか。』
「あー、なんか殿様を殺すらしいなぁ」
『っ…殺さなくても、』
「んえ？」
『父は、もうすぐ死にます』
「え！？お姫様だったの！？」
『あ、いや…』
「じゃあ何でこんな部屋にいるんじゃ？」
彼女…翔が居たのは俺の家と変わらんくらいの狭い、寒い部屋だった。
『…何故でしょうね。』
そういった顔があんまりに悲しげで、美しくて、
「翔。俺のものになれ」
思わずそう言っていた。
『嫌でございます。』
「何でじゃ！」
『あなたみたいな刺客に攫われるくらいなら死んだ方がましです』
「そ、そこまで…(汗)」
こんなに言われたら
俺の凄いとこ話すしかないっしょ！
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作者名：さんま | 作成日時：2018年3月14日 4時
