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自分の価値がどれ程のものなのか。
考える人間はそれなりにいるだろう。自分で決める分にはいい。だけどそれを他人によって決定されてしまった場合、そこに自分の意思が介入することは無く、ともすれば意味も分からず消されることだってある。
自分の価値は他人によって決まるのだ。
なんと憐れなことか。そう同情する者もいるだろうが、生まれた時からそんな状況に置かれていればそれが憐れなことかすら分からない。いわば籠に閉じ込められた鳥。
逃げ出したいと思った。だけどその鳥を守るために、多くのものが犠牲になった。その事を知った上で飛び出した18の冬。幸いにも優しい老夫婦に助けてもらい、働き口まで紹介してもらって。
このまま人並みの生活を営んでいけるのだと思っていた。しかし結局は借金を押し付けられ、裏切られてしまった。人を信用することの怖さを知った。
どれだけ明るく前を向こうと、まだ大丈夫だと自分に言い聞かせようと。怖いものは怖い。自分を偽ることは得意だけれど、何も信じないでいようと思ってたんだ。…だけど。
『…ユンギさん、おかえりなさい。』
「…っ、起きてたの。」
微かに部屋の扉が開く音が聞こえて、起きつつある意識で状況を理解しようとすると、腹部にぐっと重みが乗って。ごめん、と小さく呟くのが聞こえたから、なんでって気持ちと、あぁやっぱりって気持ちと。夢が急速に醒めていく。
知らなかったわけじゃない。
自分に懸けられた価値も、この人の本当の目的も。
でも、優しくしてくれた日々も、笑いかけてくれた瞬間も。くれた言葉もさ。どうしたって信じちゃうんだよ。初めて自分で自分自身の価値を見出だせた。必要とされてるのかもしれないって。嬉しかったよ。
「…まだ、朝は来ないから、寝てていいよ。」
『まだ、じゃなくて、二度と、来ないんでしょう？』
「………」
知ってたんだ、と諦めたように小さく笑う。それすらもぎこちなくて、こんな時になってまであなたの優しさを感じる。
「…なんで逃げなかった。」
『なんで…？』
「殺したくなかったよ。逃げ出したら追うつもりもなかった、…生きてて欲しいから。それまでだったって、諦めるつもりだったんだよ、」
『それじゃユンギさんが困るじゃないですか。』
そんな悲しそうな顔をしてまで殺すことを選ぶのは、それなりの理由があったんだろう。裏切られたと言えばそうだけど、恨む気持ちはそれほど無い。
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花ゆら(プロフ) - ミコトさん» ご指摘ありがとうございます！お酒の知識が全くないので、このように丁寧に教えてくださって本当にありがたいです。とても勉強になります。ぜひ使わせて頂きたいのですが、登場時や他にも何かありましたらお願いします。作品を読んでくださってありがとうございます。 (2021年8月7日 14時) (
レス) id: 3d3f54e77e (このIDを非表示/違反報告)
ミコト(プロフ) - ドンペリロゼはドンピンよりもピンドンと呼ばれることの方が多いかと...。 ドンペリだとP3やラベイ等、他だとアルマンド(レッド、ラコレクション)等が高いと言われているので登場させてみては如何でしょうか。 (2021年8月7日 8時) (レス) id: cd98bef400 (このIDを非表示/違反報告)
花ゆら(プロフ) - みーさん» 初めまして。とても恐縮するようなありがたいお言葉を頂いて、とても嬉しいです。ユンギさんかっこいいですよね。ご期待に沿えないことも話が進む中であるかもしれないのですが、面白いと思って頂けるように精一杯頑張りますので、よろしくお願いします。 (2021年7月27日 11時) (レス) id: 12cd9ea1e4 (このIDを非表示/違反報告)
みー(プロフ) - はじめまして、言葉の使い方がとてもセンスあって物語もこの先どうなっていくのか楽しみです、ユンギぺんなので嬉しいです。お話また楽しみにしております (2021年7月26日 23時) (レス) id: be93945979 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：花ゆら | 作成日時：2021年7月26日 18時
