Sugar blood (ページ14)

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「ねぇ。なに調子乗ってんの？」
『…いっ……』

昼休み。

この教室の空気の中で一人食べる勇気もなく裏庭で食べようとしていると、私の後を付いてきたらしいクラスメイトに囲まれて校舎に押し付けられた。

「あんたが学校来たせいでまじ最悪なんだけど。それになにその恰好。テヒョンくんに気に入られようとしてんのがバレバレ。キモいんだよ。」
『…ちがう！』
「は？ゴミが口答えしてんじゃねぇよ。」
『！……げっほげほ、…やめて、』

強くお腹を殴られたり、水を頭からぶっかけられたり、お弁当を用水路に投げ棄てられたり。前よりもエスカレートしているいじめは、私がどれ程彼女たちのストレス発散道具として利用されていたかが分かる。

見えるところに傷を作らず、色や匂いのない水を掛けてくる辺りは、さすが進学校だと感心してしまう。そんなところで頭使うくらいなら私に勉強で勝つ努力をしたらいいのに。なんて、以前はそんなことを考える余裕もなかった。自分には帰るところがあると思うと、物事を客観的に見ることが出来るみたいだ。

「…あーあ、あんたのせいで無駄な労力使った。謝れよ。謝ったら私らの昼ごはん買ってくるので許してやるから。」

蹲る私の顔を無理やり上に向かせて、この状況を楽しむように歪んだ笑みを浮かべる。ごめんなさいって言ってしまえば、今のこの苦しみから解放される。逃げ出したい私からすれば彼女の要求は甘い餌で、すぐにでも謝って解放して欲しいと懇願したい。

「ほら早く。謝れっつってんだろゴミが。」
『……』

…でもそれで、何が変わるんだろう。

頑張れって背中を押してくれた先輩を思い出す。堂々としてればいいって私を肯定してくれた先輩を裏切って、またこの人たちの言いなりになっていくの？…だめだよ、それは。

『……いや、…ですっ』
「……は？」

結局敬語になってしまったけれど、必死に睨み返した。震えて涙なんか溢して抵抗なんて呼べるものでもない。それでも、絶対に引かないと強く心を決めた。

「…、このゴミっ！」
『…っ、』

振り上げた手で頬を叩かれる、と思った瞬間。

『…え、』

目の前の彼女の手がピタリと止まった。

「……よぉ。楽しそうなことやってんな。」
『…せんぱい、』

彼女の手を掴んだ先輩がにやりと笑う。

「…A。これお前の友達？」
『ちがいま、』
「友達ですぅ！ユンギ先輩は、Aちゃんとお知り合いだったんですか？」
『……は、』