君のためのメロディー

5.俺だって ページ21

side hr.




MMMの活動が始まり、この仕事にも少しずつ慣れてきた。



hr「ヒョン、サビ前の位置取り、俺と代わった方が動線的に良くないですか？」


hs「たしかに、その方がそのあとの群舞にも行きやすいな。ちょっと話してみるよ。」




前は見えなかったようなところにまで目を向けることができたり、はじめはぎこちなかったファンとの交流を、純粋に楽しめるようになってきた。






そんななかで、おれは一人の人間が気になって仕方ない。

それは言わずもがな、マネージャーのAだ。





なぜかというと、最近妙に俺たちによそよそしいというか、前までの遠慮のなさがなくなった気がするのだ。

あと、いつもとても辛そうな表情をする。




初めのころやっていた雑用や伝達の他にも、彼女が担当する仕事内容が増えてきたこともあり、たしかに目に見えるほど忙しそうに動き回っている。




けど、Aが忙しさから俺たちへの対応を変えるような人間じゃないのは、この短期間でわかったことの一つ。


Aが俺らのマネージャーになって、物理的なマネージャーとしてのサポートはもちろん、精神的に彼女に助けられている部分が大きいのは、12人全員が理解していることだ。


だから、仕事が忙しいことは俺たちに対する態度を変化させる原因ではないとはっきり言える。






でもじゃあ、原因は何だ？





俺はそれを探るべく、Aを注意深く見守ることにした。

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