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迂闊だった。
きっと気が緩んでいたんだ。
いつもなら幼馴染の気配を気づかないはずがないのに。
繋がれた手を通して弔にも動揺が伝わったのだろうか、彼の指にほんの少し力がこもった。
まさか、後ろ姿で気づくなんて。
どうしようか。誤魔化す？
…いや、そんなことが通じるわけない。
だって、イズクだもの。
『久しぶり、イズク』
意を決して、振り返る。
私の行動から状況を理解したのであろう弔は、未だ動揺を隠せない私に、「安心しろ」と目で訴えてきた。
「大丈夫なの！？誘拐されたって…！」
優しい優しいイズク。
慌てるその姿からは、その声からは、心から心配してくれているのだということが分かる。
『ごめんね。
でも、誘拐なんてされてないよ。』
誘拐じゃないの。
愚かな私は、ただついていったの。
「じゃあどうして…。それにその格好」
そうして、染まっていってしまった。
イズクは驚いたのだろう。
いつもふわりとした格好をしていたから、今のボーイッシュな格好をした、そしてカラコンでわざわざ瞳の色を変えている私の姿に。
変装、だけど、そう言えば更に質問攻めにされることに間違いない。
さて、どうしよう。
「僕が頼んだんです」
…どなたですか。
依然としてフードは外さないが、その下の整った顔が、朗らかに笑っていることだけは分かる。
爽やかすぎて誰だか分からない。
あまりの衝撃にじっと見つめる私を無視して、彼は再び指と指を絡めた。
「この人が前言ってた人…？」
『そう。私ね、今、彼のところにいるの。』
「そっか」
その言葉は、安心したような、喜びを含んだような、そんな穏やかな声だった。
ごめんね。
でもね、貴方が言った通り素敵な人よ。
貴方達にとっては憎むべき敵だろうけど、それでもとっても素敵な人。
そんな意志を汲み取ったのだろうか。
イズクは優しげに、儚げに笑った。
私も、同じように笑った。
『そろそろ行かなくちゃ。
…バイバイ。イズク』
「うん。またね」
「また」なんてこないかもしれない。
来たとしても、きっと次は敵同士。
優しいヒーローさん。
もし、みんなが貴方みたいな人だったら…
(この世界は違ったのかな)
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あかね - 私の夢主の名前が紅月なので、私は紅月紅月 になってとても驚きましたw (2020年9月27日 21時) (
レス) id: bb192a1a19 (このIDを非表示/違反報告)
通りすがりの少女 - 読んでてすごく面白いと思いました。これからもがんばってください！ (2019年8月6日 2時) (レス) id: e0a9634d23 (このIDを非表示/違反報告)
のえたん(プロフ) - 幸哉さん» コメントありがとうございます！甘い展開というよりかはストーリーメインなので、これからも楽しんで貰えたら嬉しいです！ (2019年5月9日 22時) (レス) id: ee02f97984 (このIDを非表示/違反報告)
幸哉(プロフ) - あれ…？死柄木推しじゃないのになぜか読み進めてしまいます…！ (2019年5月9日 22時) (レス) id: 809d850eff (このIDを非表示/違反報告)
のえたん(プロフ) - akuaさん» ありがとうございます。とても励みになりました(^^) (2019年5月9日 15時) (レス) id: ee02f97984 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：のえたん x他1人 | 作成日時：2018年10月28日 15時
