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【被害者】紅月 雫(あかつき しずく)
「あか、つき…」
ひゅ、と息が止まった。
紅月なんて、そうそうある名字ではない。
極めつけは記事の横に小さく載った母親の写真。
肩まで伸びたウェーブがかった髪。
整った顔立ちに、どこか憂いを帯びた表情。
白黒で色まではわからないが、それでも十分だった。十分、面影があった。
「理解したかな？
この子どもが、あの子だよ。」
『Aが、生き残った子供？』
「そう、生き残った。
…というよりも、彼女が母親を殺した」
ふと、あの日の会話を思い出した。
____へぇ、美人なんだ
____私が壊しちゃったけどね
「なんで」
「暴力を振るわれていたんだ。所謂虐待だね。
限界に近づいてきたとき、個性が発現した。」
彼女は週に1回血液を摂取しなければ暴走するといっていた。
言っていたのはおそらくこれのこと。
血を求めて、理性を失ったのだろう。
「施設に預けられたって書いてあるけど」
「施設、と言っても実際は実験施設に近しい。
最初は個性の調査。その後はDNAを調べられた。
彼女は人類の夢だった不老不死そのものだからね。」
「ヒーローは」
「ヒーローがそうしたんだ」
自分たちの安全と彼女を天秤にかけて、アイツらは迷わずに自分を選んだ。
大勢のために、一人を見捨てる。
それが、ヒーローというものなのか。
「だからアイツ、逃げないのか」
不思議だった。
突然俺に連れ去られて。
それでも逃げ出す素振りなんてなくて。
それどころか嬉しそうだった。
聞けば、荷物も何もいらないと言ったそうじゃないか。
それは全部、帰る場所がないから。
「それは少し違う。
弔、君は彼女にとっての救世主なんだ。
だから彼女は弔がいるこの場所へ留まっている」
「救世主？」
画面越しに、先生が笑った気配がした。
「ああ、そうだ。もしAを殺すときが来るのならば、そのときは彼女の心臓に刃を立てて、触れなさい。」
『私を殺せるのは貴方だけ』という言葉はそういうことか。
それはイコール、心臓を崩壊させろということ。
そうすれば1000年の命が終わる。
人類の願いを詰まった彼女を。
美しさと気高さに彩られた彼女を。
俺の手で。
俺だけの手で…。
そう思うと胸のうちに溢れるものがあった。
自然と笑みが溢れる。
「ははっ」
最高の気分だ
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あかね - 私の夢主の名前が紅月なので、私は紅月紅月 になってとても驚きましたw (2020年9月27日 21時) (
レス) id: bb192a1a19 (このIDを非表示/違反報告)
通りすがりの少女 - 読んでてすごく面白いと思いました。これからもがんばってください！ (2019年8月6日 2時) (レス) id: e0a9634d23 (このIDを非表示/違反報告)
のえたん(プロフ) - 幸哉さん» コメントありがとうございます！甘い展開というよりかはストーリーメインなので、これからも楽しんで貰えたら嬉しいです！ (2019年5月9日 22時) (レス) id: ee02f97984 (このIDを非表示/違反報告)
幸哉(プロフ) - あれ…？死柄木推しじゃないのになぜか読み進めてしまいます…！ (2019年5月9日 22時) (レス) id: 809d850eff (このIDを非表示/違反報告)
のえたん(プロフ) - akuaさん» ありがとうございます。とても励みになりました(^^) (2019年5月9日 15時) (レス) id: ee02f97984 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：のえたん x他1人 | 作成日時：2018年10月28日 15時
