第四十九話 ページ49
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侑君との2年間の関係に終止符を切った。
怒鳴られても罵られても仕方がない私に、侑君は最後まで優しい声で向き合ってくれた。
そして今、私は臣に会いに行こうとしている。
あのアパートへ足を進めていた。
別れてから臣がどんな生活をしているのかなんて何1つ知らない。
そもそもまだあのアパートにいるのかすら疑わしい。
でも例え、臣が新しい恋を始めていたとしても、私との別れを乗り越えていたのだとしても、私がきちんとけじめをつけなければいけないんだ。
じゃないと私はこれから先も臣の事しか考えられない。
私は臣に会いにいく。
もう臣が私の事なんて1ミリも好きじゃなくてもいい。
会って、まだ臣の事が好きなんだって事を伝えたい。
懐かしいアパートの前に着いた頃にはもう23時を過ぎていた。
体調管理には人一倍気を使っている臣の事だから寝ているかもしれない。
付き合っていた頃、早くて22時にはお風呂も済ませて歯も磨いて寝ていたものだから「小学生か」って言って凄くウザそうな顔をされた事を思い出した。
2年の月日が経っても体が、脳があの部屋を覚えていた。
405号室。
窓は真っ暗だった。
やっぱり寝てるよねって、一瞬帰ろうとしたけれど、インターホンを押すって決めた。
きっと臣なら「迷惑行為」「常識知らず」「自己中」って冷めた目を向けながら言うんだろうな。
ごめんね、でも私は今日、今会いたい。
さあ覚悟はいいか?
大きな深呼吸を1つ。
私はインターホンを押した。
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作者名:林檎 | 作成日時:2020年6月19日 16時