第四十八話 ページ48
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「なんや、なんで知ってんねん‼ って顔してる」
あなたの考えはお見通しです。と言わんばかりに根本をつかれて、動揺が隠せない。
何も言い返せない。
つまり�爐修猟未蠅任広瓩噺世辰討い襪茲Δ併笋糧娠�に、侑君は本当に小さい声で「やっぱそうやんな」と呟いた。
「知っとったよ。Aちゃんが気付くずっと前から」
「…なんで」
「さあ…なんでやろな。好きやからかなあ、Aちゃんの事ずっと見てたから皮肉にも気付いてしもたんやろな」
困ったように笑う侑君の笑顔は無理をしている。
私自身、ついこの間気付いたっていうのに、侑君は私が気付く前から知っていた。
どんな気持ちで私と付き合っていたの⁇
罪悪感に苛まれて謝ることしかできない。
すると缶コーヒーがベンチに置かれる音がして、その束の間私は侑君に手を引かれて腕の中に閉じ込められた。
「臣君の事、絶対忘れさしたるっておもっててんけどなあ…。やっぱ6年付き合った相手には敵わんなあ」
そんな事ない、そんな事言わないでほしい。
この2年間私は本当に幸せだった。
でも私にはこんな事言う資格はない。
結果的に侑君の元から離れようとしてるんだから。
「…なんで気付いてしもたん。臣君より俺の方がAちゃんの事大事にしてた自信あんのに、笑わせてた自信もあったのに、こんなええ男振るなんて後悔するで⁇ アホやなあAちゃん、本間、アホやわ…」
抱き締められる力が強くなる。
覚悟していた筈なのに。
ああ泣くな。
私が泣いていい資格なんてどこにもない。
「なあ、臣君の事好きか⁇」
「…うん」
「…ほな、俺の事は⁇」
「……好きだよ、本当に、大好きだったよ」
ここで好きだと答えるのは残酷な返しだと思う。
でも、そう答えずにはいられなかった。
侑君と過ごしたこの2年間は嘘じゃ無いよって、私は侑君の事本当に大好きだったよって分かって欲しかった。
するとそっと体を離した侑君と目が合った。
嬉しそうな、悲しそうな、泣きそうな、そんな顔。
「俺も大好きやで」
侑君は立ち上がって、飲みかけの自分の缶コーヒーと私の缶コーヒーを手に取った。
街灯を背中に向けているから、暗くてよく見えない。
「ええよ、恋人解消。いっといで」
その優しい声に、私の涙腺は限界のようだった。
ツーッと涙が頬を流れていく。
侑君は困ったように笑って「早よ行かな、ほら」と、声を震わせていた。
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作者名：林檎 | 作成日時：2020年6月19日 16時
