第四十七話 ページ47
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�犖�ざる言わざる聞かざる��
誰でも1度は聞いた事があるだろうことわざ。
自分に都合の悪いこと、人の欠点や過ちなどは、見ない、聞かない、言わないのが良い。
ってネットで調べたらそう説明されていた。
まあでも俺は少しでも気になったら何でも見てまうし
言いたい事あったら嬉しい事でも嫌な事でもすぐ言うし
分からん事があったらすぐ聞いてまう。
例えばサムとか角名が告白されとったら覗き見するし
俺のセットで全然スパイク決められへん奴なら「下手くそ、ポジションあけろや」って言うし
周りが気を遣って話しかけへん中でも、不機嫌な奴には「何にそんな不機嫌してんの⁇」って聞く。
サムには「お前まじそーゆうとこやぞ」ってよく言われた。
んな事言われたって、見たいもんは見たらええし言いたい事は言ったらええし、聞きたいなら聞いたらええやん。
せやから好きな子ができて、その子が長年付き合っとった彼氏と別れた時にはチャンスやって思ったし、勢いのまま告白した。
まあそん時は流石にタイミングミスってしもて、やり直しさせてもろたけど。
あの目に弱い。
あの日。Vリーグのムービーなんか、見せんかったら良かったってかなり後悔した。
俺を見ていた筈のAちゃんの視線は、本人さえも気付かない内に臣君の方に向いとった。
ああ、まだ好きやねんなって嫌でも痛感した。
俺は言いたい事があればなんでも言ってまう。
「嫉妬した」俺が発した言葉の意味をAちゃんは理解しとらんかった。
その時思ってん、この子自分の気持ちに気付いてないんやなって。
もう俺は何も言わんかった。
何も見ん、言わん、聞かん。
不意に見せるAちゃんの切ない表情も見ないようにして、臣君に結び付くような言葉も質問も言わん聞かん。
もしも、Aちゃんが自分の気持ちに気付いてしもたら、そしたらもう俺らの関係は終わりを迎えるんやろうから。
ごめんなAちゃん。
Aちゃんが臣君の事まだ好きなん俺気付いとったよ。
絶対忘れさしたる、俺がAちゃんの事ずっと大事にするって思ってたけど、
「気付いてしもたんやなあ」
気付かさへん為に、俺は上手にやれてたと思うねんけどなあ。
「臣君の事まだ好きって事」
いつかこんな日が来てしまうって、俺はなんとなく気付いてた。
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作者名：林檎 | 作成日時：2020年6月19日 16時
