第二十話 ページ20
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そんな感じで始まった侑君との関係は一気に縮まった。
言葉に出すのも恥ずかしいが、まあ猛アピールを受けたのだ。
仕事終わり「夜道は危ないから」と迎えに来てくれたり。
朝のおはようから夜のおやすみまでマメな連絡を送ってくれたり。
休みの日が合えば「どっか出掛けようや‼」と、誘ってくれる。
親密な関係になるのにそう時間は掛からなかった。
しかし彼は紳士的で、手を繋がれる事はあってもそれ以上は一切手を出してこなかった。
(俺が本気やって事分からせたる)
彼が言った言葉を痛感させられるように、会う度に身に染みて彼の想いを感じた。
「ねえ私と侑君の事って他に誰か知ってる人いる⁇」
あっという間に3ヶ月が経った頃。
仕事終わり迎えに来てくれた侑君に、前から気になってた疑問を尋ねてみた。
「ん⁇ いや俺は誰にもゆーてへんよ」
「そっか」
別れてから今でも不意に臣から着信が掛かってくる事があった。
まかないを食べてる時間とか、仕事が終わってる時間を狙って。
もちろん出ないけど、またか、って思いながらも現在の彼をどこかで気にしてしまっている自分がいるんだよなあ。
「臣君」
「へ、⁉」
侑君が突然口に出した名前に、心を見透かされた様な気になって思わず素っ頓狂な声が出た。
「なんや変な声出して」とおかしそうに声を立てて笑ってる。
「心配せんでも臣君普通にバレーしとんで、今日も相変わらず気持ち悪い回転でキレキレやったわー」
「そっ、か。それは良かった、ちゃんと生活出来てるのか心配だったから」
「本間優しいなあAちゃんは」
そう返した侑君の顔は前を見て歩いてたから見なかった。
でも笑ってた、笑ってたからどんな表情をしてるかなんて気にもしなかった。
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作者名：林檎 | 作成日時：2020年6月19日 16時
