第三話 ページ3
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ラストオーダーが終わり、お客さんも残りわずか。
金晩だったから今日は忙しかったな。
おかげで余計な事を考えずに済んだ。
「A〜今日早番だったんだから疲れてるだろ⁇ もう上がっていいぞ」
キッチンから顔を出して黒尾が言った。
別に疲れてないよ。そう言う前に「今日のまかないはカレーです」と言われるものだから素直に上がる事にした。
「黒尾ご馳走様〜お先に失礼します、お疲れ様です」
「おうお疲れ〜‼」
早上がりをしたものの、同じタイミングで上がったバイトの子とお喋りしながらまかないをダラダラ食べてたら結局遅くなった。
なんかもう眠たいな。お風呂朝に入ろうかな…
『風呂入らないで寝るとかありえないから』
頭の中で聞き覚えのある元彼のセリフが聞こえた。
うるさいな、もう別れてるんだから関係ないでしょ。
また思い出して苛立って、帰ったらそのままベッドにダイブしてやろうと決める私は我ながら子供だと思う。
「おい」
今度はなんだと元彼のセリフを無意識に思い出してしまっている自分にも苛ついた。
しかしその声は背後から聞こえる。
振り返るとそこには一昨日別れたはずの元彼。
佐久早聖臣が立っていた。
「…なに、店の裏で何してんの」
「…待ってた」
目線の先にいる彼にそっけなく尋ねてみれば、ゆっくりと近づいて目の前で立ち止まりポツリとそう答えた。
見上げて見下ろされて沈黙が続く。
マスクをしているそいつの目からは、少し寂しさを感じた。
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作者名:林檎 | 作成日時:2020年6月19日 16時