第十三話 ページ13
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「手」
「手首まで洗いました」
「うがい」
「10秒を3回」
「消毒」
「もちろんしてます」
「よし、入れ」
「だから囚人かって」
今日は珍しく「おかえり」って言ってくれた。
たったそれだけの事が驚く程嬉しかった。
もう切り替えよう。
そうだ、ネガティブに考えるのはよそう。
よし。
今日は臣の好きなもの作るぞ‼
「いただきます」
「どうぞ」
臣がどんな反応をするのか食べずにメインが口に運ばれていくのを眺める。
どうですか臣さん。
あなたの好きな梅入りですよ。
「…うま」
「ほんと?」
控えめだがいつも黙々と食べる臣の口から出た「うま」という言葉。
やばい、めちゃめちゃ嬉しい。
「昨日テレビでやってたレシピなんだよ! 梅肉を使ったレシピ集ってのがやっててね、メモしておいたからいっぱい作ってあげるね!」
梅おかかのおにぎりとか、鶏胸肉ときゅうりの梅肉和えとか、つくねの梅肉乗せとか、後は〜〜〜
「ふはっ、まだあんのかよ」
あ。
あった、好きなところ。
たまに、たまーに見せる臣の笑った表情。
そうだ、私臣の笑った顔が凄く好きなんだった。
「カツ、まだ食べる⁇」
「いる」
ここ最近ずっと臣に対して抱えていた苛立ちがまた消えていく。
「おかえり」って言ってくれた。
「うま」って言ってくれた。
久し振りに笑った顔も見れて、私が臣の好きなところも思い出す事ができた。
�爐茲�ったやん‼ 嬉しい報告やなー‼��
誰かと共有したくて、侑君にメッセージを送った。
�爐△鵑淮�め込みすぎんときや‼ 侑君のお悩み相談窓口は24時間営業してんで‼��
�爐△蠅�とう�甅爐泙人�用させていただきます‼��
この後私はスマホのパスワードを誰でも分かるような単純な数字にしてた事を後悔する。
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作者名：林檎 | 作成日時：2020年6月19日 16時
