第十五話 ページ16
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「……………なにあれ」
暫く友達と盛り上がってふとした時に、臣の事が心配になってそっちに目線を移すと、目に映ったその光景に存外不機嫌な声が出てしまった。
臣の周りに群がる3人の女の子。
いいよ、別にそれはいいんだよ。
昔っからモテてたし、出席するとは考えもしなかった今やそこそこの有名人の臣が来てるんだし。
でもさ、あなた普段なら嫌がるじゃん。
相手に失礼なくらい拒否感出して、まともに会話しようとも思わないじゃん。古森君にすぐヘルプ出すし。
なのに何で普通に会話してんのよ。
距離近いし…
いやまてまて、私。
いい事じゃないか。あの臣がまともに誰かと会話してるなんてすごい成長だよ。
なんだかんだ言って臣も懐かしい人達に会えて同窓会を楽しんでるんだよ。うん、きっとそうだ。
例えそれが全っ然、接点なかったであろう女の子が相手だったとしても。
「A、顔怖い」
「…飲む。おかわりもらってくる」
「程々にしなよねー」
あー、ダメだ。
皆楽しそうに語り合っている中でも、私はずっと臣の方が気になってチラチラと盗み見てしまう。
軽く睨んだりもしてみるが本人は全く気付かない。
行き場のない一方的な苛々とモヤモヤを掻き消すように、さっきもらったばかりのワインを一気に飲み干した。
この後、私がどうなるか大体察しがつくだろう。
5.6杯目くらいで頭がボーっとしてきて「そろそろやめといたら」って言われても尚、追加のワインを飲んだ私はベロベロに酔った。
何やってんだろ。馬鹿みたい。
「A大丈夫⁇ めちゃめちゃ酔ってんじゃん」
「大丈夫。酔ってない」
「いや酔ってるでしょ、これ何本⁇」
「4本」
「1本な。1回出よう」
そう言われて間宮に手を引かれて会場を出た。
エントランスのソファーに座らされて、自販機で買ってきてくれた水を差し出される。
せっかくの同窓会なのに介抱させてしまうとかほんと申し訳なさすぎる。
「佐久早呼んでこよっか⁇」
間宮の気遣いに少し悩んだ後、首を横に振った。
「いい…今は臣の顔見たくない」
今臣の顔を見てしまえば余計な事を口走ってしまいそうだから。
ただ臣が女の子と会話していただけなのに、嫉妬した女々しい自分を見せたくなかった。
今は1人で頭を冷やしたい。
だからごめん、戻っていいよ。と間宮に言おうとした瞬間背後から聞こえたのは
「A…」
タイミングの悪い、臣の声。
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作者名：林檎 | 作成日時：2020年7月17日 0時
