黒い翼の天使。 (ページ3)

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生ぬるいページ3

カツカツカｯ。
靴の音を響かせて少女は歩いてくるとエドワードの前で止まりじっとエドワードを見つめる。

｢な、なんだよ...｣

エドワードはたじろぎ、眉をひそめる。

｢...お前、それでも国家錬金術師か？｣

少女の第一声はこれだった。

｢は？｣
｢あのくらい助けられなくて、どうする。.....こんな生ぬるい奴か錬金術師になるから、国家錬金術師は...甘く見られる｣

少しくせ毛で長い前髪で左目は隠れているものの、鋭い視線でエドワードを睨みつけた。

｢...お前、好き勝手言いやがって...！｣

カッとしたエドワードが言い返そうとする。

が、

｢...うるさい｣

少女はエドワードのすぐ後ろの壁を思いっきり蹴る。
またしてもドゴォンｯという凄まじい音を立てて壁にヒビが入り、破片がパラパラと散った。

｢...ぇ｣
｢...！｣

エドワードとアルフォンスは驚きのあまり目を見開いて少女を見つめる。
エドワードが何か言いかけたときだった。

｢また派手にやったな...、A｣
｢マスタング大佐、仕方ないこと、です｣

ロイはこの悲惨な有様を眺めるとため息ひとつついた。

｢お、鋼のじゃないか｣
｢げっ｣

エドワードはロイを見るなり顔をしかめる。

｢お前、マスタング大佐に向かって、その態度はなんだ｣

少女はまたエドワードを睨みつけた。

｢お前こそ！さっきから何なんだよ！｣
｢まぁまぁ、兄さん落ち着いて...。僕はアルフォンス・エルリックこっちはエドワード・エルリックで、僕の兄さんなんだ｣

アルフォンスが二人の間を取り持つように自己紹介をする。

｢エルリック兄弟...聞いたこと、ある。鋼の錬金術師...チビなのにいかつい名前...｣
｢うるせー！誰がちびだ！お前もそんな変わんねぇだろ！！てかそっちも名乗れよな｣

名乗れと言われると名前を言いたくないのか少女はちらり、とロイを見やる。

｢自己紹介くらいはしてやってもいいんじゃないか？｣

ふ、とロイが笑うと少女は頷いて口を開く。

｢私は、A・セレスナーティ｣

少女、Aが自分の名前を名乗るとアルフォンスが"あ！"と声を上げた。

｢兄さん、この子やっぱり黒翼の錬金術師だよ。ほら、黒い外套と黒い靴｣
｢あの、不思議な黒い靴を履いててやたらと脚技が凄いとかいう奴か｣

エドワードの視線がAの靴へとうつる。
Aはさっと黒い靴を隠すように外套を前にやり、ロイの後ろへ隠れた。